2021 Fiscal Year Research-status Report
SWI/SNF型クロマチン再構成因子関連腫瘍の分子生物学的層別化と治療戦略
Project/Area Number |
21K06887
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
孝橋 賢一 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10529879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 裕一 九州大学, 医学研究院, 講師 (00597643) [Withdrawn]
木下 伊寿美 九州大学, 大学病院, 医員 (50766186)
小田 義直 九州大学, 医学研究院, 教授 (70291515)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SWI/SNF / SMARCB1 / myxoepithelioid tumor / epithelioid sarcoma / malignant rhabdoid tumor |
Outline of Annual Research Achievements |
Malignant rhabdoid tumor、epithelioid sarcoma、myoepithelial tumor of soft tissueおよびextraskeletal mxyoid chondrosarcomaのような既知のSMARCB1蛋白完全欠失軟部腫瘍はしばしば高悪性度であり、予後不良である。これらは組織学的に類似しているため診断が困難なことがあり、慎重な診断が求められる。しかし、SMARCB1蛋白完全欠失軟部腫瘍の中には未知の概念を含んでいる可能性もある。 本年は、160例のSMARCB1蛋白欠失軟部腫瘍を解析した。その結果、既知の腫瘍に分類し難く、かつ臨床病理学的に類似した特徴を有する14症例の腫瘍が抽出された。2例が男性、12例が女性で年齢は20から61歳であった。腫瘍は外陰部(13例)および骨盤腔内(1例)に発生していた。組織学的には、腫瘍は粘液基質を伴って、比較的大きさの揃った上皮様から紡錘形細胞で構成されていた。全症例でbrachyury、EMA、PgRが陽性、ERは12/14例が陽性だった。SMA、S100蛋白、GFAPの陽性症例数は様々だった。NR4A3およびEWSR1遺伝子再構成はそれぞれ13例と11例で検討したが、いずれも検出されなかった。予後に関しては、13例が無病生存しており、そのうち4例が局所再発および/または転移の既往があった。尚、1例は追跡不能だった。 今回、これらの腫瘍を”Myxoepithelioid tumor with chordoid features(METC)”と命名し報告した。METCは適切な治療でコントロールが可能な中間悪性の腫瘍であり、既知のSMARCB1蛋白欠失軟部腫瘍とは組織学的、生物学的、臨床的に異なる新しい独立した概念を有する腫瘍であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SMARCB1蛋白欠失軟部腫瘍は様々報告されているが、今まで認識されていない腫瘍群を組織学的観点から見出すことが可能であった。その上、SMARCB1蛋白欠失軟部腫瘍は予後不良という概念があるが、それとは異なり中間悪性の腫瘍態度を示していた。 このような腫瘍群は過度の治療介入がなされている可能性がある。しかし、広く認識されると異なる側面からの研究が促進され臨床的にも有意義であり、本研究の目的にも沿うものであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回見出した新規腫瘍群であるMyxoepithelioid tumor with chordoid features(METC)について、既知のSMARCB1蛋白陰性軟部腫瘍との分子生物学的差異を明確にし、治療につながる因子を引き続き探索していく予定である。 また、既知のepithelioid sarcomaなどについてもSWI/SNFクロマチンリモデリング複合体を中心とした解析を進める予定である。
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Research Products
(26 results)