2022 Fiscal Year Research-status Report
SWI/SNF型クロマチン再構成因子関連腫瘍の分子生物学的層別化と治療戦略
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21K06887
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
孝橋 賢一 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10529879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 裕一 九州大学, 医学研究院, 講師 (00597643) [Withdrawn]
木下 伊寿美 九州大学, 大学病院, 助教 (50766186)
小田 義直 九州大学, 医学研究院, 教授 (70291515)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SWI/SNF / SMARCB1 / myxoepithelioid tumor / epithelioid tumor |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度にMyxoepithelioid tumor with chordoid features (METC)と命名し報告した腫瘍が病理組織学的に新規の疾患概念であることを確立する目的で、同じSMARCB1蛋白の完全欠失を伴い、組織学的に類似の形態を示し鑑別診断にあげられる類上皮肉腫との遺伝学的差異についてnCounder法を用いて網羅的に解析・検討した。 METCと類上皮肉腫とでは、クラスター解析で有意に異なるmRNA発現プロファイルを呈していることが分かった。その中でも特に大きな有意差を認めるものとしては、METCでは、免疫組織化学染色にてERやPgRといったホルモンレセプター発現が認められていたが、ARも発現も有意に上昇している結果となった。一方、類上皮肉腫では、IDO-1など腫瘍免疫に関する遺伝子が高発現していた。 一般的には、SMARCB1蛋白を完全欠失する腫瘍は予後不良とされるが、METCは腫瘍境界が明瞭で、比較的予後良好である。組織学的には、METCはリンパ球浸潤をあまり伴わない一方で、類上皮肉腫では、境界不明瞭でリンパ球浸潤を著明に伴い、予後不良であることが知られている。これらの結果からは、METCでは従来の乳がんや前立腺がんといった癌腫において既に実施されているホルモン療法が、また、類上皮肉腫では免疫チェックポイント阻害薬が有効に働く抗腫瘍療法の候補として上げられると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Myxoepithelioid tumorは、鑑別診断にあげられるSMARCB1陰性の高悪性度である類上皮肉腫とは異なる遺伝子発現プロファイルを有することが判明した。また、その遺伝子発現プロファイルから、今後の治療ターゲットとなりうる因子についても確認することが可能であった。以上の経過は本研究の目的に沿うものである。
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Strategy for Future Research Activity |
Myxoepithelioid tumorと類上皮肉腫との遺伝子プロファイルを精査するとともに、SMARCB1陰性のmyoepithelioid tumorとの差異について、病理組織学や分子生物学的に解析を進める予定である。それにより、myxoepithelioid tumorが新しい疾患概念であることを確立することを目標とする。
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Research Products
(5 results)