2021 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子パネル検査によるHeterogeneityの解明と病理診断学的判断への貢献
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21K06895
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
四十物 絵理子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (90835638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 広史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50322805)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん遺伝子パネル検査 / 遺伝子変異量 / 異所性リンパ組織 / heterogeneity / ICI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで実践してきた遺伝子パネル検査の結果から、同一腫瘍内の不均一性(Heterogeneity)や、同一診断名で形態学的差異が存在している症例間のゲノムプロファイルの比較を行い、形態学的差異を生む原因の検索、病態解明を進めることを目的とする。本研究では、マイクロダイセクションを使用しながら3ステップで研究を実施する。 ①空間的・時間的な複数検体をシーケンスした症例の臨床病理学的検討 ②遺伝子パネル検査にて非典型的なゲノムプロファイルを有する腫瘍の臨床病理学的検討 ③上記①②で選定した部位のマイクロダイセクションによるゲノムプロファイル解析 我々は、慶應大学で切除された子宮体癌115症例を用いて、腫瘍側の因子としての遺伝子変異量TumorMutationBurden(TLO)と宿主側の因子としてのTertiary Lymphoid Organs(TLO)に注目し、それらを結びつける組織球系細胞が腫瘍巣周囲の間質内リンパ管内に有意に増加していることを特定した。その細胞は抗原提示を行うことでTLOを増加させ、腫瘍免疫機能を代表とするTILを増加させ抗腫瘍作用を形成していると考えた。この細胞の機能の詳細な評価と直接作用する細胞との相互作用を、病理標本の局在性を重要視し、検討した結果を2021年度の癌学会で報告した(The 80the Annual Meeting of the Japanese Cancer Association. P12-5-1) . このデータを裏付けるために、子宮体癌のmRNAの公開データベースを用いて、TMBを同様に3群にわけて発現解析した。その結果、CXCL13,CXXR5,CD3z,CD8a and CXCL9のTLO関連gene及び細胞障害性T細胞関連geneの発現がTMB-H群において有意に上昇していることを確認し、仮設を検証することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で想定していた仮説を裏付ける研究成果を得ることができ、概ね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回子宮体癌において、TMBが高いグループにおいて、腫瘍内でCD68陽性抗原提示細胞が、活性化されることが、TLOという免疫機構の基地の形成と直接的に細胞障害にあたるTILという腫瘍免疫を獲得するイニシエーターになるというストーリーが支持された。また、それらを形成するのに重要なCXCL13, CXCL9のようなbiomarkerが複数個に絞られた。今後は、癌腫を広げてTMBとTIL及びサイトカインの局在と機能を証明することと、もともとの癌の抗原性(TMB)のなかでそれらのサイトカインを誘導するkeyとなりうる蛋白を同定していく。そのためには、公共でのデータベースを使った解析と、癌腫を広げた組織標本上でのRNAscopeを使ったサイトカインの局在の同定、同一組織を使ったシーケンサーによるゲノム解析、また前向きにICIを使用した検体でも同様のことを検証していく。
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