2021 Fiscal Year Research-status Report
Tuft細胞性に着目した胸部がんの特性解明と新規治療法の提唱
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21K06902
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 洋介 京都大学, 医学研究科, 講師 (40742622)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胸腺がん / 肺がん / Tuft細胞 / POU2F3 / 塩類細胞 / FOXI1 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表的な胸部がんである胸腺がんおよび肺がんにはいずれも、悪性度が高く、かつ有効な治療法が確立されていない一群が存在する。本研究の目的は、tuft細胞性を示す胸腺がんおよび肺がんの詳細な臨床病理学的特徴を単施設の症例を用いて探索し、tuft細胞性が当該腫瘍の臨床病理像に与える影響を明らかにすることである。このことで、胸腺がんや肺がんのより妥当な病理組織学的分類、適切な治療指針の確立に寄与することが期待される。
はじめに、本研究の申請時に論文投稿中であった先行研究が2021年2月に受理された。この報告において、申請者らは、1) 胸腺がんの大多数が、もう一つの胸腺上皮性腫瘍である胸腺腫とは異なり (あるいは胸腺腫よりも有意に)、tuft細胞の主要制御因子であるPOU2F3を含むtuft細胞性マーカーを高発現する (tuft細胞性を示す) こと、2) 肺がんでは、小細胞がんだけでなく非小細胞肺がんにおいてもtuft細胞性を示す例が存在すること、3) いずれのがん腫においても、tuft細胞性がんは非tuft細胞性がんとは異なった生物学的特徴を有すること、を見出した (PMID: 33609752)。
次いで、現在の所属施設の症例を用いて、胸腺がんの多くがtuft細胞性を示す特性は患者の人種を問わず認められること、胸腺腫においては、その亜型ごとに異なったPOU2F3への染色性が見られることを報告した (PMID: 34988657)。更に、自施設症例等を用いてtuft細胞性肺がんの生物像を探索し、その新たな治療法を提示した (Submitted)。加えて、tuft細胞性を示すがん腫は、胸部臓器以外にも特有の生物学的特徴をもって存在することを報告した (Revised)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
投稿中の論文について、期待されていたよりも投稿・受理までに時間がかかっているが、計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、先に述べた現在修正中または投稿中の論文の受理を目指す。Tuft細胞性を示すがん腫は胸部臓器以外にも認められることが明らかになったことから、非胸部臓器のtuft細胞性がんの探索も検討する。
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Causes of Carryover |
来年度に購入を予定している物品費の一部として使用するため。
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Research Products
(7 results)