2022 Fiscal Year Research-status Report
Tuft細胞性に着目した胸部がんの特性解明と新規治療法の提唱
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21K06902
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 洋介 京都大学, 医学研究科, 講師 (40742622)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Tuft細胞性がん / 肺がん / 胸腺がん / Tuft細胞 / POU2F3 / 塩類細胞 / FOXI1 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表的な胸部がんである胸腺がんおよび肺がんにはいずれも、悪性度が高く、かつ有効な治療法が確立されていない一群が存在する。本研究の目的は、tuft細胞性を示す胸腺がんおよび肺がんの詳細な臨床病理学的特徴を単施設の症例を用いて探索し、tuft細胞性が当該腫瘍の臨床病理像に与える影響を明らかにすることである。このことで、胸腺がんや肺がんのより妥当な病理組織学的分類、適切な治療指針の確立に寄与することが期待される。
本年度は、tuft細胞性肺がんの臨床病理学的・分子生物学的所見を検証した論文が受理された (PMID: 35999270)。重要な知見には、tuft細胞性肺がんが塩類細胞というtuft細胞とは別の分化細胞の発現プロファイルをも有すること、tuft細胞性小細胞肺がんがPARP阻害剤・BCL2阻害剤に感受性を示すことが挙げられる 。更に、tuft細胞性を示すがん腫は胸部臓器以外にも特有の生物学的特徴をもって発生すること、これまでtuft細胞の存在が知られていない臓器にもtuft細胞が存在する可能性を指摘した (PMID: 36402755)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題申請時の目標であった、tuft細胞性を示す胸腺がんおよび肺がんの特徴を検証した論文が昨年度・今年度で受理されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
課題申請時はtuft細胞性胸腺がんと同肺がんの比較を予定していたが、それぞれのがん腫を検証した論文から両者の違いは既にある程度明らかになった。今後は胸部臓器以外に発生するtuft細胞性がん、あるいは非腫瘍性のtuft細胞をターゲットとした研究や、tuft細胞性を治療標的につながるために必要な機能的実験等に軸足を移していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも物品費が少なかったこととコロナ禍の影響で学会はウェブ参加としたため。来年度の助成金と合わせ当該研究のため適切に使用する。
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