2023 Fiscal Year Annual Research Report
Tuft細胞性に着目した胸部がんの特性解明と新規治療法の提唱
Project/Area Number |
21K06902
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 洋介 京都大学, 医学研究科, 講師 (40742622)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タフト (tuft) 細胞 / 塩類細胞 / 胸腺がん / 胸腺腫 / 肺がん / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、シングルセル解析を含めた解析により、tuft細胞がヒト乳腺にも存在する可能性、tuft細胞様乳がんがトリプルネガティブ乳がんのサブセットを形成する可能性、を提唱した論文を発表した (PMID: 37179317)。また、tuft細胞と、これとは別の細胞種である塩類細胞のマーカー (それぞれPOU2F3およびFOXI1) の発現パターンが、唾液腺腫瘍の亜型ごとに異なることを見出した (PMID: 38358561)。加えて、胸腺がんのtuft細胞様・塩類細胞様性格に着目し、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬が胸腺がんの治療に応用できる可能性を提唱した (PMID: 38201543)。更に、これまでの研究成果に関連した胸腺腫瘍に関する総説3編を発表した (PMID: 37278579。38090038。他1本 (2024年3月受理))。
研究開始時は、tuft細胞様の発現プロファイルを示す胸腺がんと同肺がんにフォーカスしていたが、それぞれのがん腫を検証した論文から両者の違いをある程度明らかにすることができた (PMID: 33609752。36402755)。更にtuft細胞様のがん腫が臓器横断的に存在することも見出すことができ (PMID: 35999270)、いくつかの臓器では、臓器ごとにtuft細胞様腫瘍や正常のtuft細胞の病理学的特徴を検討することもできた (上述)。以上より、研究期間全体を通じて、胸部腫瘍を中心に、tuft細胞様腫瘍の認識やその特性の解明に寄与する研究を発表することができた。今後は、生理的に存在するtuft細胞の機能、tuft細胞様腫瘍の生物学的意義を掘り下げたいと考えている。
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