2021 Fiscal Year Research-status Report
骨軟部腫瘍の病理診断に有用な免疫染色マーカーの開発
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21K06919
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
吉田 朗彦 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (80574780)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 滑膜肉腫 / CIC遺伝子再構成肉腫 / 免疫染色 / 病理診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.SS18遺伝子融合陽性あるいはSMARCB1染色減弱を有する滑膜肉腫67例において、SS18-SSX融合特異的免疫染色の感度を調べたところ、66例(98.5%)で陽性であった。一方FISH法でSS18遺伝子再構成が認められない滑膜肉腫11例を検討したところ、うち6例はSS18-SSX免疫染色陽性で、次世代シーケンス可能であった3例で確かにSS18-SSX2融合が確認でき、FISH偽陰性と判明した。残り5例においては、新規融合遺伝子EWSR1-SSX1(3例)やMN1-SSX1(1例)、および稀な融合遺伝子SS18L1-SSX1(1例)が認められた。SS18L1-SSX1陽性例ではSS18-SSX免疫染色弱陽性、EWSR1やMN1融合を有する例ではSS18-SSX染色陰性であったが、SSX(C末端)抗体はいずれもびまん性に強く陽性であった。これらの結果から滑膜肉腫の診断において一般にSS18-SSX染色は非常に感度が高く、稀な遺伝子亜型においてはSSX(C末端)免疫染色が有用であることが確認された。 2. CIC遺伝子再構成肉腫における血管内皮マーカーERGとCD31の発現状態について検討した。全30例中、ERGとCD31が共陽性となった例が9例あったが、発現は不均一で、弱陽性や局所的な陽性像も見られ、びまん性で強い一様な陽性像は見られなかった。CICミスセンス変異は見られなかった。ERGとCD31共陽性のCIC再構成肉腫は、その臨床病理像、免疫形質(ETV4とWT1の発現)、DNAメチル化状態に関してもCD31陰性のCIC肉腫と大差がなかった。血管肉腫ではERGとCD31のびまん性で強い一様な発現がみられ、ETV4やWT1は陰性であった。ERGとCD31共陽性のCIC陽性肉腫は、血管肉腫の亜型ではなく、治療法が異なることから血管肉腫と鑑別すべきと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの診療経験に基づいて、骨軟部腫瘍の病理診断で問題となる腫瘍型を適切に選択し、それぞれの文脈に応じた実用的な免疫染色マーカーの特徴づけを行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度と同様、骨軟部腫瘍の病理診断で重要な鑑別において、有用な免疫染色マーカーの探るべく検討をすすめている。
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Causes of Carryover |
試薬等の購入には残額が足らず、次年度に繰り越した。次年度の試薬購入等に充当する予定である。
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Research Products
(4 results)