2022 Fiscal Year Research-status Report
成人高悪性度神経膠腫の分子遺伝学的検討:2亜型に焦点を当てて
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21K06929
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
柴原 純二 杏林大学, 医学部, 教授 (60334380)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膠腫 / 融合遺伝子 / FGFR3 / 多形性 / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. FGFR3::TACC3融合遺伝子陽性高悪性度神経膠腫(F3T3-HGG)についての検討 F3T3-HGGの位置付け、診断法を確立することを主目的とした研究である。融合遺伝子が tandem duplicationにより形成されることを考慮して、FGFR3・TACC3遺伝子コピー数増加の検出によるF3T3-HGGのスクリーニング法の確立を試みた。F3T3-HGGを含むglioblastomaのDNAメチル化アレイデータ(GSE200647)を用いて検討を行ったところ、感度69%、特異度92%、陽性的中率71%、陰性的中率91%の精度で、F3T3-HGGの診断が可能であった。自験例のF3T3-HGGを用いて、Digital PCR法やMLPA法でのコピー検出を試みたが、DNAメチル化アレイでのコピー数解析以上の精度の結果は得られなかった。遺伝子重複領域が短く、同領域のプローブ密度も低いことが低精度の一因と考えられ、プローブ密度が低い背景には同領域付近はGC含量が高く、プローブの設計自体が困難であることが考えられた。F3T3-HGGを含む膠腫の公共DNAメチル化データ と自験例のF3T3-HGGのDNAメチル化データを併せたt-SNE解析では、少なくとも一部のF3T3-HGGがclusterをなす独特の一群であることが確認された。
2. 多形型膠芽腫についての検討 巨細胞、上皮様細胞、肉腫用紡錘形細胞成分を種々の程度に含む膠芽腫を、多形型膠腫と包括的に定義し、臨床病理学的・分子遺伝学的観点から、その位置付けを明らかにする研究である。形態学的基準にて抽出された18症例のうち13例についてDNAメチル化解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
F3T3-HGGのスクリーニング法が確立できていないものの、DNAメチル化解析を通し、F3T3-HGGの一部が独特の一群であることを確認するに至っている。 多形型膠芽腫についても検討が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
FGFR3::TACC3HGGについて、網羅的遺伝子発現解析を行い、本腫瘍群の位置付けをより明確にするとともに、特徴的形態の背景にある分子機序の解明を行う。また、Duolink PLA法を用いた融合蛋白の検出よるスクリーニング法の確立を試みる。 多形型膠芽腫については、既に得られたDNAメチル化データを用い、tSNE法や遺伝子コピー数解析を実施するとともに、免疫組織化学や遺伝子変異解析等の結果と併せ、本腫瘍の位置づけを明確にする。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りに研究を進めたが、一部の分子遺伝学的検討を次年度に行うこととした。 持ち越した予算は次年度の分子遺伝学的解析に用いる。
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