2022 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between factors and molecular mechanisms involved in cell differentiation and malignancy of gastrointestinal epithelial-like cancers of the large intestine.
Project/Area Number |
21K06931
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
八尾 隆史 順天堂大学, 医学部, 教授 (20243933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80439736)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胎児消化管類似癌 / 胃癌 / 大腸癌 / AFP / Glypican 3 / SALL4 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃胎児消化管類似癌は、淡明な細胞質を有し3つの胎児消化管マーカー(AFP、Glypican-3、SALL4)のいずれかが発現する癌で、高率に静脈侵襲や肝転移をきたす高悪性度の癌であることを報告したが、胎児消化管マーカーが陽性となる癌は大腸にも存在し、必ずしも淡明な細胞質を有するものだけでないことが判明した(Kurosawa T, Yao T, et al. Pathol Res Pract 2022)。 そこで、胃癌においても組織像に関係なく一定期間に切除された進行癌688例に対して胎児消化管マーカーの免疫染色を施行し、免疫組織化学的に胎児消化管への分化を示す癌153例(22.1%)が抽出された。このうち淡明な細胞質を有する胃胎児消化管類似癌は94例であり、淡明な細胞質を有さない胎児消化管分化を示す胃癌は58例であった。胎児消化管マーカー陽性胃癌は陰性胃癌より静脈侵襲(67.0% vs 35.1%)と肝転移(41.5% vs 8.0%)の頻度は高く、5年生存率(47.1% vs 58.2%)は低かった。胎児消化管マーカー陽性胃癌のうち、淡明細胞静脈侵襲の頻度(67.0% vs 50.0%)と肝転移の頻度(41.5% vs 15.5%)は前者で高かったが、リンパ管侵襲(60.6% vs 88.6%)は後者で高く、5年生存率(46.6% vs 47.9%)には差はなかった。 これらの結果から、胎児消化管マーカー陽性癌は淡明な細胞質の有無に関わらず陰性癌より高悪性度の癌であることが判明した(投稿中)。 さらに、胎児消化管マーカー陽性の早期胃癌31例(粘膜内癌5例、粘膜下層浸潤癌26例)を抽出し、その臨床病理学的特徴を解析した。淡明な細胞質の有無や充実性増殖の有無に関わらず脈管侵襲やリンパ節転移は一般型の胃癌より頻度が高く、高悪性度の癌であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸癌での結果と同様に胃癌でも胎児消化管マーカー陽性癌は淡明な細胞質の有無に関わらず陰性癌より高悪性度の癌であるということが判明し、さらに早期胃癌でも高悪性度であることが判明し、今後の胃癌組織分類を再考する上で有意義な結果が得られた。 しかしながら、SALL4を発現している胃癌および大腸癌の培養細胞株でsiRNAを用いたSALL4ノックダウン実験に成功したが、これを用いた解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、胎児消化管類似癌における浸潤および転移関連タンパク質の免疫染色による解析、さらにSALL4のノックダウンによる生物学的機能の評価に加えて、SALL4によって調節される遺伝子発現ネットワークを引き続き分析し、これらの悪性度の高い胃腸腫瘍における未知の治療標的を発見を目指している。
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Causes of Carryover |
研究に必要なものにのみ経費を使用した結果、残高が生じた。令和5年度の研究において試薬購入に使用する予定。
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