2021 Fiscal Year Research-status Report
鼻副鼻腔癌における個別化治療に向けた発癌メカニズムの解明
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21K06940
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
佐々木 英一 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 研究員 (00817116)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鼻副鼻腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
鼻腔や副鼻腔に発生する悪性腫瘍である鼻副鼻腔癌は頭頸部癌全体の約3%程度とまれな癌腫である。しかしながら、口腔・咽頭・喉頭などの他部位の頭頸部領域の癌とは異なり、その組織像は多彩である。その腫瘍発生には頭頸部癌における主要なリスク因子である喫煙のほか、内反性乳頭腫や好酸性乳頭腫などの良性の乳頭腫病変を由来とするもの、HPV(HUMAN PAPILLOMAVIRUS、ヒト乳頭腫ウイルス)に関連するもの、など、さまざまな要因が関連しているとされている。 HPV関連の悪性腫瘍は頭頸部領域では中咽頭癌に比較的高い頻度で観察されるが、頻度としてはその次に鼻副鼻腔領域に多いとされている。そこで、まず、われわれはHPV関連の鼻副鼻腔癌の特徴を見出すことを目的として、鼻副鼻腔癌症例のうち、組織型が扁平上皮癌と診断されている症例について、ホルマリン固定パラフィン切片からDNAを抽出して、HPV DNAの検討を行った。 その結果、HPV関連の鼻副鼻腔癌は検討した症例のうち8%の頻度で認められた。HPV関連の鼻副鼻腔癌症例はすべて鼻腔発生であった。組織学的には非角化型扁平上皮癌としての像を示し、全症例において免疫染色にてP16がびまん性に強陽性を示した。そのため、P16の免疫染色はHPV関連の鼻副鼻腔癌をスクリーニングするうえで有用と考えられた。また、HPV非関連鼻副鼻腔癌に比べて、HPV関連の鼻風鼻腔癌の予後は良好であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HPV陽性の鼻副鼻腔癌の臨床病理学的特徴を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
HPV非関連の鼻副鼻腔癌の特徴を明らかにするために、検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
HPVの解析をメインに行ったが、当初の予定よりも少額で検討を行うことができた。
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Research Products
(18 results)