• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2021 Fiscal Year Research-status Report

がん細胞の持続的増殖における幹細胞性誘導メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 21K06942
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

渡邊 幸秀  筑波大学, 医学医療系, 助教 (40618534)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsがん幹細胞 / イメージング / TMEPAI
Outline of Annual Research Achievements

がんは自律的かつ過剰な増殖を示すヘテロな細胞集団であり、その中には、治療抵抗性の強いがん幹細胞が存在し、がんの発生、再発、転移に関わっている。しかしながら、がん幹細胞の増殖動態やその誘導、維持のメカニズムについてはほとんど解明されていないことから、本研究では、がん幹細胞の可視化を行い、経時的に観察することや、それらを単離、遺伝子発現プロファイルの解析をすることで、がん幹細胞の誘導・維持に重要な遺伝子およびシグナル機構を明らかにし、がん幹細胞を標的とした、再発・転移を抑える新たな作用機序の抗がん剤の開発を目指すことを目的としている。
がん細胞を浮遊条件下で培養すると、通常の接着培養と比較してNANOG、OCT4、SOX2等の幹細胞マーカー転写因子の発現が増加した。また、接着培養ではほぼ全ての細胞は分裂を繰り返すが、浮遊培養では増殖スピードに多様性が生じることから、浮遊培養では、がん細胞は幹細胞性を誘導することで、腫瘍性増殖を維持しているのではないかと仮説を立て、NANOG、OCT4、SOX2のプロモーター下で高輝度発光タンパク質であるNano-lanternを発現するレポーターシステムを作製している。現在、安定発現株を樹立しており、接着、浮遊培養条件下でのレポーター遺伝子の発現の増加や、浮遊培養のスフェア中のレポーター陽性細胞の分布など発光顕微鏡を用いた観察を行う予定である。
また、我々が注目し、腫瘍形成を促進することを明らかにした膜貫通タンパク質TMEPAIが浮遊培養時の幹細胞マーカー遺伝子の発現誘導に関与することを見出し、TMEPAIがAKTシグナルを増強することで、がん幹細胞誘導に関わることを明らかにしている。現在、原著論文としてその成果を公表する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

がん幹細胞のイメージングについては、既に浮遊培養下で発現が亢進することが認められているNANOG、OCT4、SOX2の発現制御コアプロモーターを用いたレポーターシステムを構築している。今後、安定発現株を用いた観察を行うが、実際の幹細胞遺伝子発現とレポーターの発光強度の相関性については検討が必要であり、Nano-lanternの細胞内安定性やレポーターとして組み込んだプロモーター領域の妥当性を検討し、改良を重ねる予定である。さらに発光顕微鏡についても、浮遊培養時の細胞塊(スフェア)観察において、視野からの逸脱や観察深度の経時的変化など、長期観察に向け課題が残されていることから、観察条件の検討も同時に行っている。がん促進タンパク質TMEPAIとがん幹幹細胞の関連については、予定通りメカニズムの解析を行い、成果を公表する準備を進めている。

Strategy for Future Research Activity

今後もがん幹細胞の可視化に向け、NANOG、OCT4、SOX2のプロモーターを用いたレポーターの改良を行い、がん幹細胞の増殖動態を観察する。また、がん幹細胞の単離を行い、遺伝子発現プロファイリングを明らかにすることで、がん幹細胞の誘導および維持に重要な分子、細胞内シグナルの解析を行う。遺伝子発現解析の結果、がん幹細胞特異的に発現する遺伝子が同定された場合、その遺伝子の発現調節領域を用いたイメージングも開発し、より精度の高いがん幹細胞イメージングを目指す。がん幹細胞の動態解析は、長期の観察を必要とするため、励起光による光毒性のない、発光による観察を計画しており、そのための機材の調達、条件検討を行っているが、スフェアなどの深度幅の大きな対象物の観察は難しいことも予想されることから、蛍光レポーターを用いた観察も同時に検討している。
がん幹細胞のイメージング技術が確立されれば、がん幹細胞を標的とした薬剤のスクリーニングや、同定した遺伝子プロファイルからがん幹細胞の誘導・維持に重要な分子の機能を明らかにすることで、それを標的とした新たながんの治療法の確立に発展することができ、ステージの進行したがんなど難治性の高いがんにも有効な新たな治療法の開発に貢献できると考えている。
また、イメージングと並行して、腫瘍性増殖に関与するTMEPAIに着目した研究を行うことで、細胞内シグナルの変化が、どのようにがん幹細胞を誘導するのか総合的に明らかにし、上記の新たながん幹細胞を標的とした治療法の開発の基礎となる分子メカニズムを明らかにする。

  • Research Products

    (4 results)

All 2021 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Int'l Joint Research] インドネシア大学(インドネシア)

    • Country Name
      INDONESIA
    • Counterpart Institution
      インドネシア大学
  • [Journal Article] PMEPA1/TMEPAI Is a Unique Tumorigenic Activator of AKT Promoting Proteasomal Degradation of PHLPP1 in Triple-Negative Breast Cancer Cells2021

    • Author(s)
      Md Anwarul Haque, Mohammed Abdelaziz, Meidi Utami Puteri, Thanh Thao Vo Nguyen, Kosei Kudo, Yukihide Watanabe, Mitsuyasu Kato
    • Journal Title

      Cancers

      Volume: 13 Pages: 4934

    • DOI

      10.3390/cancers13194934

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] TMEPAI functions via its PY and a Smad Interaction motif (SIM) for tumorigenic activities of breast cancer cells2021

    • Author(s)
      Puteri Meidi Utami, Wardhani Bantari W.K., Amalia Riezki, Yukihide Watanabe, Mitsuyasu Kato
    • Organizer
      The 1st International Conference on Pharmaceutical Sciences and Military Pharmacy
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 筑波大学実験病理学研究室ホームページ

    • URL

      https://www.md.tsukuba.ac.jp/epatho/

URL: 

Published: 2022-12-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi