2023 Fiscal Year Annual Research Report
難治性神経疾患の克服を目指した神経系血管バリアーの人為的制御手法の確立
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21K06949
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
池田 栄二 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30232177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 丹 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40346549)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / Basigin / 低酸素 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、神経系血管バリアーの調節分子としてバリアー形成血管内皮細胞の細胞膜に発現局在する糖タンパク質Basigin (ヒトではCD147と称する)を特定し、Basiginを標的とした神経系血管バリアーの人為的制御手法(‘閉じた状態’⇔‘開いた状態’)の確立を目指し研究を進めている。Basigin阻害が‘開いた状態’の血管バリアーを‘閉じた状態’に、Basigin刺激が‘閉じた状態’の血管バリアーを‘開いた状態’にすることを見出し報告した。本研究期間の2022年度までに標的を絞り込み、高マンノース型糖鎖修飾を受けたBasiginのみを特異的標的とすることによって、‘閉じた状態’の血管バリアーが病的刺激下において‘開いた状態’になる現象を予防でき、さらに病的に‘開いた状態’にある血管バリアーを‘閉じた状態’に戻すことができるという知見を得た。また、Basigin刺激により‘閉じた状態’の血管バリアーを人為的に‘開いた状態’にする手法については、ヒト細胞を用いた神経系血管バリアー実験系を確立し、これまでにマウス実験系で得られている知見がヒト実験系においても再現されることを示した。最終年度である2023年度では、創薬に向けた一歩として、抗ヒトBasigin (CD147) 機能性抗体 (中和抗体、刺激抗体) の作製を行い、神経系血管バリアーの人為的制御手法のため製剤候補の選出を行った。現在までに、製剤候補となる数クローンの抗ヒトBasigin機能性抗体が得られており、創薬に向け研究を進めている。また、 Basiginの上流に存在し神経系血管バリアーの調節に関与する分子の特定にも成功し、その機能の詳細とともに新規標的分子としての有用性についても解析中である。
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