2021 Fiscal Year Research-status Report
筋衛星細胞における機能維持メカニズムのグローバル解析
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21K06961
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
林 晋一郎 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第一部, 室長 (10732381)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋幹細胞 / 筋分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋ジストロフィーの根本的治療法の一つとして、骨格筋幹細胞(筋衛星細胞)を用いた再生医学的治療法が挙げられる。移植された筋幹細胞は増殖・分化・融合して筋再生に寄与するだけでなく、その一部は移植先の筋組織内で再び休止状態となり、組織幹細胞として定着することができる。しかしながら生体外で幹細胞機能を維持したまま増幅させることが困難なことや移植後の定着率の低さなど乗り越えるべき課題も多く、実現に至っていない。Pax7は筋幹細胞に発現する転写因子であり、筋幹細胞の機能維持に必須であるが、その共役因子、標的因子、および発現制御機構については殆ど明らかにされていない。そこで、本研究では、申請者が作製したPax7にHAタグを付加したノックインマウス(Pax7-HA KIマウス)を活用し、筋幹細胞におけるPax7の転写調節共役因子および標的因子を明らかにすることで骨格筋幹細胞の機能調節・機能維持メカニズムを明らかにすることを目的とした。本年度はPax7-HA KIホモマウスより単離した筋幹細胞を用いて、抗HA抗体を用いた免疫沈降-質量分析法によりPax7結合タンパク質を網羅的に解析した。その結果、翻訳開始関連因子を含むこれまで報告のない267種のタンパク質を同定した。一方で、抗HA抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)により、これまで報告されたMyf5プロモーターへのPax7の結合は確認されたが、ChIPシークエンスに必要なDNA量は得られなかった。 本研究の進展に伴い、骨格筋幹細胞の増殖・分化制御、筋形成の全容が解明されるとともに、その成果が再生医療へと応用されることが強く期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Pax7HA KIホモマウス(Pax7HA/HA)および野生型マウス(6-8週齢)から筋幹細胞をセルソーターにより単離し、筋幹細胞初代培養系を作製した。増殖期の培養筋幹細胞を回収し、抗HA抗体を用いた免疫沈降-質量分析法によりPax7結合タンパク質を解析した。その結果、Pax7-HA/HA由来筋幹細胞で野生型マウス由来筋幹細胞と比較して2倍以上有意に検出されたタンパク質を267種同定した。Gene Ontology解析の結果、翻訳開始関連因子が多く見出された。これまでPax7の共役因子として報告されたMLL1/2およびCarm1 (Cell Stem Cell 11, 333-345, 2012) は検出されなかった。一方、計画ではin vivoでのPax7結合因子を解析するため、筋幹細胞をPax7HA/HAより単離し、免疫沈降-質量分析を行う予定であったが、単離できる細胞数が十分でなく、実験に使用可能な細胞数を確保することが現状では難しい事が明らかとなった。また、クロマチン免疫沈降(ChIP)後に得られるDNA量が、ChIP-seqに必要な量に満たず、検討する必要があることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、①in vivoにおけるPax7結合タンパク質解析のための筋幹細胞数の確保、②ChIP後のDNA量の確保の2点が課題であることが分かった。①については発生期の胚を用いて解析する、カルジオトキシンによる筋損傷で筋幹細胞を増加させるなどの方法を取り、解析に十分な細胞数を確保する方法を試す。②については、超音波による細胞破砕法を調整し、現在DNA収量の改善が見られている。さらに条件を検討することでシークエンス解析に十分なDNA収量が得られると考えられる。
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[Journal Article] Deep convolutional neural network-based algorithm for muscle biopsy diagnosis2021
Author(s)
Kabeya Yoshinori,Okubo Mariko,Yonezawa Sho,Nakano Hiroki,Inoue Michio,Ogasawara Masashi,Saito Yoshihiko,Tanboon Jantima,Indrawati Luh Ari,Kumutpongpanich Theerawat,Chen Yen-Lin,Yoshioka Wakako,Hayashi Shinichiro,Iwamori Toshiya,Takeuchi Yusuke,Tokumasu Reitaro,Takano Atsushi,Matsuda Fumihiko,Nishino Ichizo
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Journal Title
Laboratory Investigation
Volume: 102
Pages: 220~226
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] GNE pathogenic variant p.D207V rarely leads to myopathy in homozygotes; GNE might not be the only pathogenic determinant of GNE myopathy.2021
Author(s)
Yoshioka W, Sonehara K, Iida A, Oya Y, Kurashige T, Okubo M, Ogawa M, Matsuda F, Higasa K, Mori-Yoshimura M, Nakamura H, Hayashi S, Okada Y, Noguchi S, Nishino I
Organizer
26th International Congress of the World Muscle Society
Int'l Joint Research
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