2023 Fiscal Year Research-status Report
DNA損傷トレランスタンパク質REV7を介した紫外線誘発皮膚癌の発生機序の解明
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21K06973
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
櫻井 靖高 北里大学, 医学部, 助教 (50733101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村雲 芳樹 北里大学, 医学部, 教授 (40324438)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DNA損傷トレランス / 紫外線 / 変異 / 発癌 / REV7 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は紫外線によって誘発される皮膚癌の発生にREV7が関与していることをマウス個体レベルで証明し、そのメカニズムを細胞・組織レベルで明らかにすることである。 本年度はマウス個体レベルの解析と組織レベルの解析を進めた。Polh/Rev7二重遺伝子改変マウス(PolhKO/Rev7cKO)と熊本大学生命資源研究・支援センターより入手したK5-Creマウスを交配し、PolhKO/Rev7cKO/K5-Creマウスを作出した。各種遺伝子型のマウス(野生型、Polh欠損型、Rev7欠損型、Polh/Rev7二重欠損型)の皮膚に2 kJ/m2の紫外線を照射したところ、2週間でPolh/Rev7二重欠損型マウスの皮膚に変化がみられた。病理解析をしたところ、Polh/Rev7二重欠損型マウスでは表皮が欠損していた。単独欠損では表皮の肥厚化はみられるが、表皮の欠損はみられなかったため、PolhとRev7を同時に欠損することで紫外線照射に対して相乗的な高感受性を示したと考えられる。この結果は細胞の紫外線感受性解析の結果と矛盾しなかった。発癌実験を行うためには紫外線の照射条件の検討が必要と考え、照射線量と頻度の検討を行い、実験条件の至適化を行った。 また紫外線照射に対する応答を組織レベルで解析した。BrdUの取り込みを指標としたDNA合成を調べたところ、Rev7欠損型とPolh/Rev7二重欠損型マウスでは野生型とPolh欠損型マウスと比較してBrdU陽性細胞が減少した。UV損傷によって生じる二本鎖切断をpH2AXの抗体を用いて検出したところ、Rev7欠損型とPolh/Rev7二重欠損型マウスでは野生型とPolh欠損型マウスと比較してpH2AXのシグナルが長時間残存していた。これらの結果からRev7を欠損するとUV照射後のDNA合成が抑制されること、二本鎖切断の修復が遅延することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞レベルの解析は計画通りに進行し、一定の成果が得られている。しかし、マウスの研究計画を変更したこと、マウスの作出が予定通りに進まなかったことなどから、当初計画より遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に至適化した条件下で紫外線による発癌実験を進め、Rev7欠損による皮膚癌発生への影響を解析する。また、組織レベルの解析としてDNA損傷の蓄積とアポトーシスを解析する。
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Causes of Carryover |
予定していた動物実験計画に遅れが生じているために次年度使用額が生じたが、次年度に行う予定であり、今後の使用計画に大きな支障はないと考えている。
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Research Products
(2 results)