2023 Fiscal Year Annual Research Report
Involvement of aquaporin-3 in cancer progression
Project/Area Number |
21K06974
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹馬 真理子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (40531736)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アクアポリン3 / 多発性骨髄腫 / ガン悪性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
AQP3(アクアポリン3)は、水と低分子化合物を輸送するチャネルである。これまでの研究から、AQP3阻害がガンの進行を抑制する可能性が示唆されてきた。本課題では、ガンにおけるAQP3の病態制御メカニズムを探索し、我々が開発したAQP3モノクローナル阻害抗体を用い、AQP3阻害のガンに対する有効性を調べた。 [AQP3抗体によるガン微小環境への影響] AQP3抗体を、マウス由来大腸ガン細胞(MC38、CT26細胞)のガン細胞同種移植マウスへ投与し、腫瘍の成長を比較した。AQP3抗体投与は、コントロール抗体投与群と比較して、腫瘍の成長を抑制した。腫瘍に浸潤した免疫細胞の解析から、M2型の腫瘍関連マクロファージ(TAM)の割合がAQP3抗体投与群で減少し、これに伴い抗腫瘍性マクロファージ(M1型マクロファージ)が増加したことが示された。またAQP3抗体投与群では、活性型のCD8陽性T細胞が増加しており、総じて、AQP3抗体は抗腫瘍性免疫作用の高いガン微小環境を作り出していることを示した。野生型マウスにクロドロン酸を投薬してマクロファージを除去したマウスでは、AQP3抗体による腫瘍抑制作用が減弱したことから、AQP3抗体はマクロファージを介して抗腫瘍作用を有すると考えた。 [AQP3阻害による多発性骨髄腫への有効性] 多発性骨髄腫(MM)は、B細胞から分化した形質細胞がガン化した腫瘍であり、治療困難なことから、新しい治療法の開発が望まれている。AQP3 ブロッカー(AQP3抗体、AQP3害剤DFP00173)は細胞成長、ミトコンドリアの呼吸率、電子伝達系複合体Iの活性を低下させた。またMM細胞を移植した免疫不全マウスにAQP3抗体を投与したところ、腫瘍成長が有意に抑制された。これらの結果は、AQP3阻害がMMの有効な治療戦略である可能性を示した。
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