2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the onset mechanism of streptococcal toxic shock syndrome on the bacterial side using an original mouse model
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21K06979
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
齋藤 光正 産業医科大学, 医学部, 教授 (00315087)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 劇症型レンサ球菌感染症 / A群β溶血性レンサ球菌 / GAS / Streptococcus pyogenes / STSS / 劇症型レンサ球菌感染症マウスモデル / csrS/csrR / 突然変異株 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、A群β溶血性レンサ球菌(GAS, Streptococcus pyogenes)が劇症型レンサ球菌感染症(STSS)を発症するに至るまでの菌側の強毒化過程を解明することである。これまでの研究で、GAS SP2株をマウスの前腕に筋肉内接種して20日前後経過すると、感染局所で強毒な突然変異株が出現し、全身に播種されてSTSS類似の病態をきたすことを見出した。本研究で明らかにしたい点は次の2点である。1)マウス生体内で強毒化した変異株において発現が亢進しているのはどの病原遺伝子か。また、全ゲノム中、強毒化に関与する遺伝子変異はcsrS/csrR以外には起きていないのか。もし、csrS/csrRに特異的に変異が入るとすれば、どういう仕組みによるのか。2)強毒化変異は、これまで研究に使用したSP2株以外のGASでも普遍的に生じる現象か。 2021年度は、まずGASの他の親株を用いて同様の検討を行い、それがGAS全体に普遍的にみられる強毒化機構であるかを明らかにすることにした。 1回の実験につきGAS4株について、それぞれ107を10匹のddY マウス(オス、6週齢)の前肢に筋注した。感染後8週間、マウスの状態と体重を毎日チェックした。STSSを発症したマウスはセボフルレン麻酔下に心臓穿刺してヘパリン加全採血を行い、頸椎脱臼により安楽死させた。筋注部位の筋肉および臓器(肝臓、腎臓、脾臓)を無菌的に摘出し、1 mLのPBSを加えてホモジナイズした。血液、筋肉、臓器の各サンプルをTHY寒天培地を用いて培養し、レンサ球菌が分離された場合には、それぞれの菌株のDNAを抽出したのち、csrS/csrRをターゲットとしたPCRを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1)GASを感染させたマウスの経過観察期間が8週間と長期にわたるうえに、どの菌株が強毒化変異をきたすのかは不明である。強毒化する菌株を見出す実験に予想以上に時間を要している。 2)新型コロナウイルス感染症の流行が続き、大学における感染症対策に関連する業務に時間を費やさざるを得なくなり、研究の時間が十分に確保できなかった。また、実験試薬や材料の発注から納品までがこれまでにないくらい大幅に遅延し、研究進度に少なからぬ影響を与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)強毒化した株から得られたPCR産物について塩基配列を決定し、それぞれの分離株の変異の有無を調べる。また、分離株全体の中の変異株の割合を算出する。 2)すべての変異株について、ddYマウスに筋注して病原性を検討する。それぞれ107を10匹のddY マウス(オス、6週齢)の前肢に筋注する。感染後8週間、マウスの状態と体重を毎日チェックし、親株との病原性の違いを比較する。 3)未検討の親株についても実験を行い、合計10株のGASについて強毒化が起こるかどうか確認する。
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Causes of Carryover |
2021年度は実験が計画よりも遅延したために次年度使用額が生じた。主な原因は新型コロナウイルス感染症の流行が続き、大学における感染症対策に関連する業務に時間を費やさざるを得なくなり、研究の時間が十分に確保できなかったこと、実験試薬や材料の発注から納品までがこれまでにないくらい大幅に遅延し、研究進度に少なからぬ影響を与えたことである。次年度は研究時間を十分に確保して2021年度の遅れを取り戻す予定であり、必要な物品の購入と成果発表のための旅費に充てる。
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