2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K06982
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
上野 瞳 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部, 上級研究員 (30435630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進導 美幸 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 実験動物管理室, 研究員 (50866233)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Bcor / マウス / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、BCL6 corepressor (BCOR)遺伝子内縦列重複変異を有する腫瘍で認められる特徴的な遺伝子発現変化やDNAメチル化修飾の変化が、この変異によりどのようにもたらされているのかを明らかにすることであり、治療法開発への足掛かりとなることを目指している。本研究計画は、ゲノム編集により作成したBcor遺伝子内縦列重複変異細胞およびそれらをもとに作成するマウスの分子生物学的解析を行う。 令和三年度は本研究計画の初年度のため、以前の研究においてゲノム編集により作出し系統維持が不可能であったBcor遺伝子内縦列重複変異マウスより樹立したBcor変異胚性幹細胞(ES細胞)の遺伝子発現解析を次世代シークエンスにより試行し解析を進めた。また、Bcor変異ES細胞からのEmbryoid Body形成について検討を行った。さらに、Bcor変異ES細胞からキメラマウスを作成し、戻し交配による次世代の作出を開始した。Bcor遺伝子内縦列重複変異を有するマウスは、現段階において受精卵のゲノム編集時(Bcor機能喪失変異とのモザイク)に発生した血液腫瘍を認めていない。これは、血液腫瘍で知られているBcor機能喪失変異と固形腫瘍(小児の未分化肉腫や一部の脳腫瘍、成人の子宮内膜間質肉腫)で認めるBcor遺伝子内縦列重複変異は腫瘍発生に関与する機序に違いがあることを予想できるものであり、この変異が固形腫瘍に特徴的な変異である可能性が考えられる結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Bcor変異ES細胞からキメラマウスの作成を行い、生殖細胞系列へのBcor変異ES細胞の寄与を確認するまでにやや時間を要したが、戻し交配による繁殖維持を開始できた。また、当初の計画通りES細胞の遺伝子発現解析とEmbryoid Body形成を行い、解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、ゲノム編集マウスより樹立した細胞の遺伝子発現解析やReduced representation bisulfite sequencing (RRBS)を行う。また、Bcor変異マウスの繁殖を試み、表現型の観察を行う。
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Causes of Carryover |
キメラマウスの作成と繁殖にやや時間を要したため、飼育費が予定よりも少額となったことに加えて、新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みて旅費を伴う学会参加を見合わせたため次年度繰り越しが生じた。 次年度使用分は、マウスの維持・保存、解析のための物品費として使用する。翌年度請求分は、当初の計画通りに使用する。
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