2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K06982
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
上野 瞳 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部, 上級研究員 (30435630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進導 美幸 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 実験動物管理室, 研究員 (50866233)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小児がん / Bcor / 変異マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、ゲノム編集により作成したBcor遺伝子内縦列重複変異(Bcor internal tandem duplication: Bcor-ITD)マウスおよびそのマウスから樹立した細胞についてエピジェネティクスの観点から解析を行うことで、小児のBCOR-ITDを有する腫瘍で認められる特徴的な遺伝子発現変化やDNAメチル化修飾の変化が、この変異によりどのようにもたらされているのかを明らかにすることを目指している。 令和5年度は、前年度に引き続きBcor-ITD変異マウスおよびマウスから樹立した細胞についてRNAシークエンス解析と主にCpG アイランドとプロモーター領域のDNAメチル化を解析するRRBS解析を行った。 本研究により、Bcor-ITD変異マウスは交配するマウスの系統を変更することで維持を可能にした。系統変更後の死亡した変異仔マウスにおいても変更前と同様の現象を認めたため、その異常は系統に依存しない異常でありBcor-ITD変異による影響であることを強く示唆する結果を得た。さらにその表現型が発生stageのどの時期における影響であるかを確認するため、胎仔および胎盤の観察を行ったところ、発生中期から後期の変異個体の胎盤組織において異常を認めた。特にオス個体の胎盤はメスのヘテロマウスに比較し高度な異常が観察された。それは、Bcor遺伝子がX染色体に位置していることと矛盾しない結果であり、胎盤の発達異常がBcor-ITDマウスの高頻度な新生児死亡の要因の一つとなっているものと推察された。樹立した細胞および胎仔組織についてのRNAシークエンスの結果、腫瘍で生じている特徴の一部を検出した。RRBS解析の結果は、より広範囲なエピゲノム解析が必要と判断し今後も継続して解析を行う予定である。
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