2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of immunosuppressive mechanism by Mesocestoides vogae and its excretory-secretory products
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21K06998
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
森田 健太郎 産業医科大学, 医学部, 講師 (30533690)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 寄生虫 / 免疫修飾 / 関節炎 / Mesocestoides vogae / Th17 / 好酸球 / 骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC) |
Outline of Annual Research Achievements |
Th17型の自己免疫疾患モデルであるマウスコラーゲン関節炎(CIA)に対するネズミ中殖条虫*(Mesocestoides vogae;Mv)による免疫抑制機構に関して継続して解析を行った。 好酸球の関与を検討するために昨年度に開始したIL-5欠損マウス(IL-5KO)を用いたCIAの実験を今年度も引き続き行った。昨年度は、Mv感染後、IL-5KO群が実験中に大幅に死亡するという予期せぬ事態に直面した。その原因は不明であるが、飼育室をよりクリーンな環境に変更することで対処した。 その結果、今年度は昨年度に比べて実験を安定して実施することができ、IL-5KO群ではCIAに対するMvによる免疫抑制作用が減弱するという結果が得られた。また、脾臓細胞を用いたフローサイトメトリーの解析から、脾臓組織中の全細胞数(赤血球を除く)がMv感染により1.5~2倍に増大し、B細胞やT細胞の数はコントロール群と同じ構成比率を維持したまま増えることがわかった。一方、好酸球およびCD11b+Ly6G-Ly6Chighの細胞がMv感染群でコントロール群に比べて増大することが複数の検討で再現された。これらの結果から、CIAに対するMvによる免疫抑制機構において、好酸球および、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)と推測されるCD11b+Ly6G-Ly6Chighの細胞が重要であると考えられる。 (*2023/12/18、日本寄生虫学会用語委員会により「ボーグ中殖条虫」として和名が正式に決定された。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年の初めにマウスの繁殖ケージの数を増やすために飼育室を移動させた。ところが、移動先の飼育室において緑膿菌が検出された。これが原因かどうかは不明であるが、2022年の後半ぐらいから、CIAの評価中にMv感染群で通常よりも異常に多い数の死亡が確認され始めた。これに対処するために、再び、飼育室を変更することとなり、その影響により遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、CIAに対するMvによる免疫抑制機構において、好酸球および、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)と推測されるCD11b+Ly6G-Ly6Chighの細胞が重要であることが示唆されたので、今後は、好酸球および、CD11b+Ly6G-Ly6Chighの細胞の免疫抑制機能を検討する。そのために、Mv感染マウスからセルソーターを用いて先の細胞を分離回収し、ex vivoでT細胞の増殖アッセイを用いて免疫抑制機能を評価する。そして、免疫抑制作用が確認できた場合は養子移入実験によりin vivoでのCIA抑制効果を検討する。
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Causes of Carryover |
CIA評価中、Mv感染群のマウスが異常に多く死亡したため、対策が必要となり、結果的に動物実験の回数が減った。さらに、フローサイトメトリーの解析データを整理するのにも相当の時間が必要となりデスクワークが主な作業となった。これにより実験費用が余った。次年度では培養実験の回数や共同利用施設内の機器の使用頻度が増える予定である。そのため、今年度余った実験費用は次年度のこれら実験の費用に充てる予定である。
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