2022 Fiscal Year Research-status Report
Whole-genome analysis for drug-resistance and pathogenicity of Aspergillus fumigatus
Project/Area Number |
21K07001
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 弘喜 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (60548460)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Aspergillus fumigatus / 薬剤耐性 / ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境中に普遍的に存在する真菌アスペルギルスフミガタスは、環境中の物質循環に貢献しているのみならず、重篤な肺アスペルギルス症の原因菌として最も多く分離されることから、病原菌としても我々と密接な関係にある。近年、我が国を含む先進国を中心に肺アスペルギルス症が増加傾向にあり、主に治療に使用されているアゾール系抗真菌薬に対する耐性株も出現していることから、その治療戦略の確立が急務となっている。しかしながら、未だ薬剤耐性の性状変化が起こる菌株とその遺伝的背景の関連については明らかとなっていないことから、薬剤耐性となった菌株の系統的な特徴や臨床分離株のゲノム的特徴について明らかにできれば、新たな治療戦略を確立する上で重要な知見となる。そこで本研究では、(1)薬剤耐性化が起こる菌株に系統的な特徴はあるのか?(2)臨床分離株に系統的な特徴はあるのか?、という2つの高リスク系統に迫ることを目的とする。そのために、千葉大学真菌医学研究センターで保存されている分離源が明確なアスペルギルスフミガタスの本邦分離株(臨床分離株・環境分離株)の全ゲノムシーケンスを大規模に実施し、高精度な系統関係の構築を進める。今年度は、本邦で分離された170株の系統解析を進めた。その結果、薬剤耐性株が広範な系統で確認されたことから、特定の系統に偏るのではなく、どの系統でも薬剤耐性化するリスクがあることが示唆された。また、環境分離株と臨床分離株との明確な境界を認めることは出来なかったから、臨床分離株としての特徴は不明であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床分離株、環境分離株のゲノムシーケンス、薬剤感受性試験を完了し、系統解析を進めた。薬剤耐性遺伝子の変異についても整理を進めた。系統関係が整理できたので、考察を進めている。計画通り順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
参照配列としてAf293を利用しているが、本邦分離株は、Af293とは遠縁であるので、本邦分離株の特徴を詳細に解析するために、いくつかの株において、長鎖シーケンスによる完全長ゲノムの構築を予定している。作成した完全長ゲノムを参照配列として系統解析、集団構造解析を進め、薬剤耐性化に関与する遺伝子や変異の探索を進める。
|
Causes of Carryover |
技術補佐員の雇用を計画していたが、適任者がいなかったため採用を見送った。そのため、全額執行には至らなかった。 技術補佐員の人件費に充当するとともに、菌株の全ゲノムデータ取得のための経費、国際共同研究推進のための海外滞在費に充当する予定である。
|
Research Products
(10 results)