2022 Fiscal Year Research-status Report
機能未同定転写調節因子の網羅的解析によるA群レンサ球菌毒素蛋白質発現機構の解明
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21K07007
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
長谷川 忠男 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10314014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立野 一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (50311642)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | A群レンサ球菌 / 発現調節因子 / 酸化ストレス / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
A群レンサ球菌は、1990年前後より再興感染症としての劇症型感染症の起因菌(人喰いバクテリア)となることが報告された。病原性発揮には毒素蛋白質の質的、量的変化が重要な役割を果たしているが、発現制御については未知の部分が多い。今回の研究ではゲノム情報から数多く推定される機能未知の転写調節を司ると考えられる因子の機能を明らかにすることにより、未知の発現制御の解明に取り組んでいる。 1.転写調節遺伝子ノックアウト株の樹立ー劇症型感染症患者由来株である10-85のゲノム情報から機能未知の転写調節を司ると考えられる因子の網羅的なノックアウト株の樹立を試み、昨年度約40種類、今年度10種類のノックアウト株を樹立した。 2.各種ストレスに対する解析ー昨年度DNA活性の減弱を報告した2種の転写調節因子ノックアウト株において、相補株、10-85以外の劇症型感染症由来1529株におけるノックアウト株も作成した。これらに、pHストレス、温度ストレス、酸化ストレス(過酸化酸素使用)などの各種ストレスを与え、増殖に及ぼす影響を検討した。その結果この2種は酸化ストレス応答にも関与していることが判明した。 3.酸化ストレス実験ー上記2種以外のノックアウト株に対して酸化ストレス実験を行い、新たに2種のノックアウト株も酸化ストレス応答減弱を認めた。一つはPspCドメイン保有の蛋白質であり、もう一方はredoxを感知すると推定される発現制御因子であった。10-85以外の1529株においてもノックアウト株も樹立し、相補株の作成を試みたが、1529株由来PspCドメイン保有の蛋白質ノックアウト株ではいかなるプラスミドの導入もできなかった。10-85株と1529株は遺伝子導入に必要な遺伝子の違いがすでにゲノムから判明していたが、この蛋白質は異なる機序の遺伝子導入メカニズムに関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まだ樹立に至っていないものもあるが、糖代謝に関連するなど機能が推定されている発現制御因子を除いて多くのノックアウト株を樹立した。一部の発現制御因子に関してはそれらが関与する機能の一端が明らかとなってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
蛋白質分解酵素、DNA分解酵素などの発現の蛋白質、mRNAレベルでの解析が未実施のものがあり検討を行う予定である。これまで樹立したノックアウト株において解析が未実施の検討(たとえば薬剤感受性、NADase活性など)を行う必要がある。また10-85以外の1529株においても一部の遺伝子に関してはノックアウト株を樹立したが、機能が普遍的であることを証明するために他の株においてもノックアウト株や、相補株を樹立する実験も遂行予定である。またいくつかノックアウト株の樹立に成功していない遺伝子もあり、並行して実験を続けていく。
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Causes of Carryover |
初年度、2年度では主にノックアウト株の樹立、ストレス応答実験が大きな部分を占めた。これらの実験では既存の試薬等を用いることができたが、最終年度は機能的解析、蛋白質、mRNAレベルでの解析が中心となることが見込まれ、これらの経費に使用する予定である。
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