2021 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of virulence in fungi under coculture condition with anaerobic bacteria
Project/Area Number |
21K07009
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
仁木 満美子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20438229)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪内 泰志 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30442990)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 真菌 / バイオフィルム / 嫌気性菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) P. gingivalis の培養上清によるC. albicansへの影響 Candida albicans (Ca) ATCC 10231株およびSC5314株をYPD液体培地に接種し、培養後顕微鏡下で菌体を観察したところ、培養6時間目には両株ともPorphyromonas gingivalis (Pg) 培養上清を添加した場合にのみ菌糸形成が観察された。また、24時間目にはATCC 10231株において強固なバイオフィルムの形成が観察され、細胞表面の疎水性の増強も認められた。その他の嫌気性菌培養上清にも同様の作用があるか検討したところ、Fusobacterium nucletumでPg同様の現象が観察された一方、Bacteroides fragilisにはその活性が認められなかった。次にBSA寒天培地およびEgg yolk寒天培地を用いて菌を培養し、プロテアーゼ活性およびリパーゼ活性への影響を観察したところ、Pg培養上清添加によりいずれの活性も抑制されることが明らかになった。一方、酸化ストレス防御システムへの影響を検討するため、培養後のCa菌体から抽出した菌体内タンパク質についてNative-PAGEを行い、nitro blue tetrazoliumを用いた活性染色を行なった結果、SODの産生に変化は認められなかった。 4) 既知の病原遺伝子の発現解析 Pg培養上清添加による菌糸形成およびバイオフィルム形成の促進が認められたことから、これらの現象に関与することが報告されている遺伝子の発現をリアルタイムRT-PCR法により解析した。その結果、biofilm形成初期の接着及び菌糸形成に関与する遺伝子EAP1、ALS3、HWP1等の発現がPg培養上清添加により増強することが明らかになった。一方、細胞外マトリックス形成を抑制する遺伝子CSH1の発現については減少が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の研究実施計画のうち、1)Pg培養上清によるCa表現型への影響、4)既知の病原遺伝子の発現解析については実験を概ね完了している。また、3)薬剤抵抗性獲得への影響については、薬剤濃度および培養時間等条件検討を行う段階に入っており、6) P. gingivalis 培養上清中のC. albicans 刺激因子の探索については、分子量分画および溶媒抽出による活性画分の粗精製が完了している。以上から、初年度の計画は概ね達成したと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究実施計画2) 細胞接着性および侵入性への影響 について、当初の計画通りHEp2細胞にFITC標識したCa菌体を感染させたのち蛍光顕微鏡で観察し、菌の接着性に対するPg培養上清の影響について検討を行う。また、3) 薬剤抵抗性獲得への影響についてはPg培養上清の刺激によるバイオフィルム形成前後における薬剤感受性の変化についてXTT法に加えてCFU測定法を用いて評価を行う。4)既知の病原遺伝子の発現解析については、プロテアーゼおよびホスホリパーゼをコードする遺伝子と、薬剤排出ポンプをコードする遺伝子の発現についても解析を行う。6) P. gingivalis 培養上清中のCa 刺激因子の探索については、現在活性の存在が確認された画分についてLC-MSによる物質同定を試みる。
|
Causes of Carryover |
当初今年度に行う予定であった細胞接着性および侵入性への影響の検討を次年度へ移動し、既知の病原遺伝子の発現解析を先に行ったことにより、細胞培養実験にかかる費用が今年度計上されなかったため。 また、学会参加費および旅費が不要だったことも理由の一つである。
|