2023 Fiscal Year Annual Research Report
Functional differentiation of anaerobic bacterial biofilms by post-transcriptional regulation
Project/Area Number |
21K07018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾花 望 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00722688)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ウェルシュ菌 / バイオフィルムマトリクス / 不均一性 / 温度 / シアリダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では嫌気性細菌集団の不均一性形成メカニズムと集団生存戦略機構の理解を目指した。ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は温度(37°C:宿主内→25°C:環境中)に応答してバイオフィルムマトリクス遺伝子の発現が調節されることにより、バイオフィルム形態を変化させることが明らかとなっている。本菌のバイオフィルムマトリクス遺伝子は集団中で二峰性の不均一な発現を示す。しかし、その不均一性形成メカニズムは不明であった。これを明らかにするために、バイオフィルムマトリクス遺伝子発現がONおよびOFFの亜集団をセルソーターによって分取し、RNA-seq解析を実施したところ、細胞外マトリクス遺伝子とその下流の遺伝子群が同時に発現変動していることが明らかになった。さらに詳細な解析の結果、マトリクス遺伝子下流の二成分制御遺伝子への転写リードスルーが、マトリクス遺伝子発現調節に必要であることが明らかとなった。 また、温度に応答して変動している遺伝子群をRNA-seq解析によって網羅的に同定したところ、シアリダーゼ遺伝子など宿主成分の利用に関与する遺伝子が低温(25°C)で発現上昇することが明らかとなった。さらにこれらの遺伝子の発現はRNAヘリカーゼであるCshAを介した転写後制御によって調節されていることが明らかとなった。 ウェルシュ菌は温度を認識することによって宿主内外環境を認識し、バイオフィルム形態および栄養利用性を調節することによって環境に適応していると考えられる。またこれらの発現調節は転写後制御が関与することにより、環境への応答がより迅速にしていると予想された。
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