2023 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌス症を治療するヒト型抗体製剤の開発に向けた基盤研究
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21K07021
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松村 拓大 金沢大学, 医学系, 准教授 (00456930)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ボツリヌス神経毒素 / ボツリヌス症 / ヒト型モノクローナル抗体 / 治療効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにB型ボツリヌス毒素(BoNT/B)を中和するヒト型抗体M2およびM4を機能を解析する中で、M2は活性ドメイン (LC)、M4はレセプター結合ドメイン(HC)に結合することを明らかにしていた。今回、詳細に結合様式を解析した結果、M2は線状エピトープ (linear epitope)、M4は構造的エピトープ (conformational epitope)を認識していることを明らかにした。また、中和作用機序解析においてM4はBoNT/Bの細胞への結合を阻害することを確認していたが、M2は酵素活性を阻害せず機序は不明であった。そこでM2が結合することによるBoNT/Bの細胞内局在の変化を詳細に解析した。その結果、M2はBoNT/B LCのトランスロケーションを阻害し、BoNT/Bの局在を細胞質から細胞膜上へ移行させることにより中和活性を発揮することを明らかにした。A型ボツリヌス毒素(BoNT/A)に対するヒト型抗体3種(NT-320、BT-015、BT-175)はBoNT/Aの中和効果があることが明らかになっている。さらに異なるエピトープを認識するため組合せでの中和効果の上昇が期待できる。種々の抗体の組合せで中和活性を解析した結果、3種全てを組み合わせることによりBoNT/A1に対して高い中和効果を発揮することが明らかとなった。一方で、同様の組み合わせでサブタイプA2 (BoNT/A2)に対する中和効果を解析した結果、A1と比較して中和効果が低いことが示唆された。各抗体とBoNT/A2との結合を解析した結果、NT-320はBoNT/A2と結合せず、これが中和活性に影響していることが考えられた。現在中和作用機序を解明する目的で、BoNT/A1各ドメインの組換えタンパク質を用いて各抗体の結合部位を解析している。
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[Journal Article] Adult-onset botulism in a Japanese woman with prolonged spore excretion2023
Author(s)
Kihara K, Kajiyama Y, Kimura Y, Okazaki S, Esa N, Nobe R, Shimizu K, Ohno K, Motooka D, Matsumura T, Shimazu T, Nakamura S, Fujinaga Y, Mochizuki H.
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Journal Title
J Infect Chemother
Volume: 29
Pages: 1172-1176
DOI
Peer Reviewed
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