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2021 Fiscal Year Research-status Report

ネズミチフス菌のエフェロサイトーシスを利用した生存戦略

Research Project

Project/Area Number 21K07027
Research InstitutionNagasaki University

Principal Investigator

日吉 大貴  長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (00585599)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsサルモネラ / T3SS / エフェロサイトーシス / 全身感染 / 好中球
Outline of Annual Research Achievements

サルモネラは、汚染された肉や卵・乳製品などを介してヒトに感染する食中毒起因菌である。感染者のほとんどは腸炎や下痢のような軽症を示す。しかし、免疫力の低下した人への感染や、チフス性サルモネラなど侵襲性の強い血清型の感染によって全身感染が起き、推定68万人以上が年間世界で亡くなっている。また近年では多剤耐性菌による感染者の増加も懸念されており、WHOは薬剤耐性サルモネラを早急に対処すべき病原体のリストに加えた。
細胞内寄生菌であるサルモネラは、マクロファージ内で増殖できる。しかし、マクロファージは細胞内に侵入してきた病原菌を察知し、パイロトーシスなどの細胞死を誘導するなどして、それらを細胞外に追い出すことができる。大量に浸潤してきた殺菌活性の高い好中球がパトロールしていることもあり、細胞外に出ることはサルモネラにとって危険ではあるが、全身感染を起こすためには、新しい細胞に積極的に侵入し、そこで増殖する必要がある。本研究では、そのジレンマを解消できるサルモネラの新規全身感染機構を見出したので下記にその概要を記述する。
マクロファージ内で安全に増殖したサルモネラは、3型分泌装置(T3SS)-2と呼ばれる病原因子により、増殖の場である食胞内から、細胞質に脱出することを本研究で明らかにした。通常であれば、好中球は自身の細胞であるマクロファージを貪食することは無いが、細胞質に脱出したサルモネラは補体活性によりタグをつけられ、感染マクロファージごと好中球のエフェロサイトーシスで取り込まれた。一緒に取り込まれたサルモネラは、周りを包むマクロファージにより、好中球の活性酸素種の殺菌作用から逃れることが分かった。さらに、他の細胞内寄生菌であるブルセラ菌も、宿主のエフェロサイトーシス機構をハイジャックした病原性発揮機構を持つ可能性も見出した。以上の内容を学術誌に報告した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究では、3つの学術的な「問い」を掲げており、そのうち「感染マクロファージは、どのようにエフェロサイトーシスにより好中球に貪食されるのか?」と「好中球のエフェロサイトーシスで貪食された菌は、なぜROSで殺菌されないのか?」という2つについての概要を明らかにすることができた。その一方、コロナ禍の影響で、共焦点顕微鏡のトレーニングをなかなか受けることができず、当初予定していたタイムラプスイメージングやイメージングフローサイトの着手が遅れている。しかし明らかにできた成果を、Cell Host & Microb誌に報告できたことは、進捗状況としては申し分ないといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後は、3つ目の学術的な「問い」にあたる「どのT3SS-2エフェクターが好中球によるエフェロサイトーシスを誘導するのか?」という問題の解決を主に目指す。これまでに、33種の個々のT3SS-2エフェクターを欠損した株を用いたスクリーニングを行なっており、いくつかの候補が取れてきている。これらのエフェクターの機能を詳細に解析することにより、エフェロサイトーシスを介した全身感染に必要なエフェクターを特定する。また、当初に計画していたイメージング解析を本格的に始め、できるだけ早い論文報告を目指す。

Causes of Carryover

研究計画時に予定していた、共焦点顕微鏡を用いたタイムラプスイメージ解析が、コロナ禍の影響で利用のためのトレーニングを受けられず他の方法を用いた計画に切り替えた。それらの経費は、他で支出したため繰越金が生じた。繰越金は、当初計画していたイメージング実験のために用いる予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2022 2021 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Remarks (3 results)

  • [Int'l Joint Research] University of California, Davis(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      University of California, Davis
  • [Journal Article] Virulence factors perforate the pathogen-containing vacuole to signal efferocytosis2022

    • Author(s)
      Hiyoshi Hirotaka、English Bevin C.、Diaz-Ochoa Vladimir E.、Wangdi Tamding、Zhang Lillian F.、Sakaguchi Miako、Haneda Takeshi、Tsolis Ren?e M.、B?umler Andreas J.
    • Journal Title

      Cell Host & Microbe

      Volume: 30 Pages: 163~170.e6

    • DOI

      10.1016/j.chom.2021.12.001

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] Virulence factors perforate the pathogen-containing vacuole to generate a find-me signal for efferocytosis2021

    • Author(s)
      Hiyoshi Hirotaka, Tsolis M. Renee, Baumler J. Andreas
    • Organizer
      The 19th Awaji International Forum on Infection and Immunity
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Remarks] Intracellular bacteria use sophisticated ‘hack’

    • URL

      https://health.ucdavis.edu/news/headlines/intracellular-bacteria-use-sophisticated-hack-to-evade-a-hosts-immune-system/2022/02

  • [Remarks] Intracellular bacteria use sophisticated ‘hack’

    • URL

      https://www.eurekalert.org/news-releases/942947

  • [Remarks] Intracellular bacteria use sophisticated ‘hack’

    • URL

      https://phys.org/news/2022-02-intracellular-bacteria-sophisticated-hack-evade.html

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Published: 2022-12-28  

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