2022 Fiscal Year Research-status Report
抗菌ペプチドLL-37による好中球NETs放出の分子機構解明と敗血症治療への応用
Project/Area Number |
21K07032
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
村上 泰介 岐阜医療科学大学, 薬学部, 准教授 (40384135)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗菌ペプチド / NETs / LL-37 / 好中球細胞外Traps |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症の病態形成にかかわる因子として、感染により宿主体内に侵入した病原微生物やその成分(pathogen associated molecular patterns; PAMPs)とともに、 障害された宿主の組織から放出されるDNAやヒストン、high mobility group box 1(HMGB1)などの宿主の内因性分子(Damage associated molecular patterns; DAMPsの関与が重要なことが知られている。LL-37 は、マウス骨髄由来好中球に対しNETsの放出を誘導することが報告されているが、そのメカニズムについては 不明である。2022年度は21年度の結果(マウス好中球をLL-37で刺激する際に、プリン受容体のP2X7受容体antagonistである oxidized ATP (oATP)、KN-62、ホルミルペプチド受容体FPR2 antagonistであるWRW4で前処理したところ、oATP、KN-62によって強く抑制されること、WRW4によっ て部分的に抑制される傾向にあることを見出した。また、ATP分解酵素であるApyrase処理によってLL-37によるNETs産生が抑制される傾向を見出した)を受けて、LL-37刺激におけるApyrase、oATPがNETs放出に必要なPAD4の発現とHistone-H3のシトルリン化に与える影響などを検討した。PAD4の発現量はPMA刺激により未刺激に比較して低下したが、LL-37刺激群では発現が増強された。また、H3シトルリン化はNETs放出が観察される3時間では今回は検出できなかった。Apyrase、oATPは今回の条件では、LL-37によるPAD4の発現増加を弱く抑制した。引き続き、ATP受容体のLL-37誘導性NETs産生への影響について解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年にかけて、引き続き新型コロナウイルス感染症対策等の対応に多くの時間を割かれ、研究エフォートが当初予定より十分に確保できなかったことによる。上記研究実績の概要については、得られた結果のいずれも質・例数が不十分であり、したがってやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の実績について、十分な例数を確保し、検証を行うとともに、当初の研究計画の内容を時間を確保し、着実に進めていく。LL-37がマウス好中球に作用を示すために重要であると考えられる受容体が明らかとなれば、その下流のシグナル伝達とエフェクターの探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究エフォートを十分に確保できなかったため、当初使用予定であった分量の実験動物、試薬や測定キット購入を控えたことによる。また、学会はほとんどが現 地開催をとりやめオンライン開催となったことで、旅費がほぼ不要になったことなどによる。今後、遅れている遂行スケジュールを進め、情報収集のための学会 参加等積極的に行うために使用する予定である。
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