2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of molecular mechanism of sex difference in pathogenecity of COVID-19
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21K07036
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 美香子 (広浜美香子) 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (60814655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 敦史 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90532060)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新型コロナウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスのアウトブレイク以降、急速にその感染は拡大し、全世界で100万人を超える死亡者と、甚大な社会的・経済的な被害をもたらしている。新型コロナウイルス感染者の男女別統計によると、男性の重症化率および死亡率は高く、他の感染症よりも男女差が顕著であることが報告されている。 本研究では、申請者らが新規に同定したエストラムスチンリン酸エステルナトリウム(エストラサイト)による新型コロナウイルスの増殖抑制機構を解明する。エストラサイトは、標的タンパク質に不可逆的に結合するナイトロゲンマスタード基がエストラジオール(女性ホルモン)に付加された化合物である。ナイトロゲンマスタード基は非特異的に作用するため、エストラサイトはエストラジオールと同一の標的タンパク質に作用すると推測される。そこで、エストラサイトをプローブとしたケミカルバイオロジー的なアプローチにより、女性ホルモンで制御される新型コロナウイルスの増殖機構を明らかにすることで、性差による重症化リスクを決定する責任分子の同定をめざす。さらに、エストラサイトの誘導体展開を進め、新規抗コロナウイルス薬の開発にも資する。 R3年度では、エストラサイトの抗新型コロナウイルス活性は、IC50値で1microM以下であり、強い抗ウイルス活性を観察し、細胞種によらず、同様な抗ウイルス活性であることを示した。また、ヒトACE2トランスジェニックマウスで抗ウイルス活性を評価したところ、in vivoでも顕著にマウスの生存率を改善することができた。現在、エストロゲン受容体の変異体解析を進めており、エストロゲン受容体による転写制御活性がどのようにコロナウイルスの性差を決定するのか、詳細な解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エストラサイトの作用点を明らかにすることができ順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
各種ウイルス遺伝子発現ベクターを用いたトランスフェクションによる再構成系を利用し、エストラサイトの作用機序を証明する。また、エストロゲン受容体の変異体を用いて、エストラサイトによる遺伝子発現制御活性とシグナル伝達制御能のどちらが重要になるか、明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
当初の想定よりも細胞生物学的な解析が順調に進み、個体を用いた実験を次年度に繰り越すことになったため。
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