2021 Fiscal Year Research-status Report
全ての亜型のA型インフルエンザウイルスのHA蛋白質に保存される新規抗原部位の同定
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21K07038
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
山吉 誠也 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 国際ウイルス感染症研究センター 部長 (50529534)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒトモノクローナル抗体 / インフルエンザウイルス / HA蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
現行のインフルエンザワクチンを接種した場合、抗原性変化が起きやすいHA蛋白質のヘッド領域を認識する抗体が主に誘導される。そのため、流行株とワクチン株の抗原性が一致せず、ワクチンの有効性が著しく低下することがある。この問題を解決するため、抗原性変化が起こりにくい領域、つまり“異なる亜型のHA蛋白質の間で保存された領域”を免疫抗原として用いるワクチン、いわゆる次世代型インフルエンザワクチンの研究が世界的に進められている。本研究では、全ての亜型のA型インフルエンザウイルスのHA蛋白質を認識するヒトモノクローナル抗体の性状解析を行い、この抗体が認識する領域が新規抗原性保存領域であることを証明する。 本抗体のエピトープ解析を、バイオセンサーを用いた生体分子間相互作用解析システム「Octet」を用いて行ったところ、本抗体はステム領域を認識するモノクローナル抗体およびヘッド領域を認識するモノクローナル抗体との競合は認められなかった。また、マウスにおける感染防御試験の結果、本抗体の投与により、H1N1pdm09亜型、H3N2亜型、H5N1亜型およびH7N9亜型のA型インフルエンザウイルスの致死的感染を防御可能であることが示された。 以上から、我々が性状解析を行っているヒトモノクローナル抗体が、これまで知られている“異なる亜型のHA蛋白質の間で保存された領域”とは異なる領域を認識し、感染防御に資するウイルス増殖阻害活性を持つことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた解析は全て順調に完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、本抗体によるウイルス増殖阻害メカニズムの解析、電子顕微鏡を用いたエピトープ解析および本抗体のエピトープ領域に対する抗体の保有率を調べていく。
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