2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of mucosal COVID-19 vaccine with pulmonary surfactant derived adjuvant which can induce long lasting immunity.
Project/Area Number |
21K07041
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木本 貴士 徳島大学, 先端酵素学研究所, 特任助教 (90724261)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新型コロナワクチン / 粘膜アジュバント / 肺サーファクタント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は肺サーファクタント由来アジュバントSF10を用いて、より有効な新型コロナワクチンの開発を行うことを目的とする。初年度に、新型コロナワクチン抗原であるウイルス表面のスパイクプロテイン1 (S1) とSF10を混合し (S1-SF10)、マウスへ経気道あるいは経口接種 (経粘膜接種) すると感染防御抗体が誘導できることを確認した。本年度は強力な注射型アジュバントとして知られるAS03を混合したS1-AS03筋肉内接種ワクチンと比較したS1-SF10経気道・経口接種ワクチンの有効性評価を行った。S1-SF10経気道・経口接種は、どちらの接種経路でもS1-AS03と同等の血液抗S1 IgG抗体を誘導した。またS1-AS03筋肉内接種ワクチンでは誘導できなかった血液と粘膜の抗S1 IgA抗体を強力に誘導することが確認された。興味深いことに血液抗S1 IgGはS1-AS03接種群とS1-SF10経粘膜接種群との間で大きな差はなかったが肺洗浄液中のIgGに関しては経粘膜接種群の方が有意に高い誘導能を示した。このことから経粘膜接種は気道粘膜局所で抗体を積極的に産生していると推測され、実際に肺における抗体産生細胞数を解析した結果、S1-SF10経粘膜接種群はS1-AS03接種群より肺の抗S1 IgG産生細胞が10倍近く多く検出された。さらに肺におけるS1応答性サイトカイン産生細胞を解析したところ、S1-SF10経気道接種群のみINF-γ産生細胞などの細胞性免疫に関与する細胞群が検出された。以上の結果よりS1-SF10経気道接種ワクチンが新型コロナワクチンとして優れていることが明らかとなった。今後はS1-SF10経気道接種ワクチンを中心に、免疫記憶や抗体親和性の解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度目標の感染防御抗体を誘導できる新型コロナウイルス抗原の選定と肺サーファクタント由来アジュバントSF10との最適な混合方法の決定、次年度目標であるそのワクチンを経粘膜接種した時の免疫誘導効果の確認まで順調に計画が進行している。最終年度では免疫記憶と抗体親和性解析を行うが、こちらもすでに実験が開始されている。以上の点から本研究はおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きSF10の有効性評価を行う。特に、長期免疫維持 (免疫記憶) とその時点における抗体の質 (抗体親和性) に関する解析を行う。 免疫記憶に関しては、最終免疫半年および一年後における血液と気道粘膜の抗体の残存量とその感染防御能について解析する。抗体の質の解析は経時的に採取した血液中の抗体親和性を測定し、親和性が免疫後どのような変化をしていくのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由) 3月に納品となり、支払いが完了していないため。 (計画) 4月に支払いが完了する予定である。
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