2022 Fiscal Year Research-status Report
CRISPRスクリーニングで同定したサフォードウイルス受容体候補遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
21K07045
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
大桑 孝子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20460347)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Saffold virus / 感染受容体 / CRISPR/Cas9 / sgRNAライブラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Saffold virus (SAFV) の感染受容体を同定し、最終的に SAFV の病原性発現の分子機構を明らかにすることを目的とする。 SAFV 感受性細胞である HeLa 細胞を用いた CRISPR library スクリーニングから、細胞表面のへパラン硫酸 (HS) が SAFV の感染に重要であることを見出した。しかし、細胞表面に HS が存在しない細胞において、SAFV 感染の明らかな遅延が見られるものの、感染・増殖を完全には阻害することはできなかった。このことから、HS は attachement receptor のひとつであり、他にも受容体となる分子が存在すると考えられた。そこで、本研究では HS 以外の SAFV 受容体を同定するために、細胞表面に HS が存在しない (HS(-)) HeLa 細胞株を作出し、この細胞株を用いた CRISPR library スクリーニングを行った。 令和4年度は、まず、CRISPR KO library を導入した細胞に SAFV を感染後、生き残った SAFV 耐性化細胞に導入された sgRNA 配列を次世代シーケンシングにより決定した。その結果得られた候補遺伝子群から、細胞膜上での発現に着目し、それらの遺伝子について、HeLa および HS(-) HeLa 細胞における KO 細胞と、SAFV 非感受性細胞である BHK-21 細胞における過剰発現細胞を作出し、ウイルスの感染と増殖を評価した。さらに、受容体候補分子と SAFV の結合を pulldown assay および attachement assay によって評価した。これらの結果から、HS 以外の SAFV 受容体を同定することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、SAFV の吸着に細胞表面のへパラン硫酸 (HS) が重要であることを見いだしていたが、本研究において、細胞表面に HS が存在しない細胞を用いることで、HS 以外の受容体を同定することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
受容体候補分子と SAFV の結合を pulldown assay および attachement assay によって評価した。この時、pulldown assay では、SAFV との直接の結合が示された。しかし attachement assay において、細胞表面での KO 細胞における SAFV 結合の減少および過剰発現細胞における結合の増加が検出できなかった。この結果は、この分子が、細胞表面での吸着以降の過程に関与している可能性を示唆する。現在、吸着以降の過程における役割を解析中である。
|
Causes of Carryover |
令和4年度は、研究助成金のおよそ94%を使用し、受容体を同定した。未使用額は、同定した受容体の機能についてさらに解析するために、実験試薬、培地、器皿類の購入のための物品費として使用する計画である。
|