2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトパピローマウイルス潜伏持続感染に関与する転写因子の探索
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21K07047
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
石井 克幸 国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 主任研究官 (90342899)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HPV / ゲノム維持 / HOXC13 |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPR-Cas9技術を用い、ホメオボックス転写因子HOXC13ノックアウトNIKS細胞(HOXC13-KO細胞)を作成し、HPVゲノムの長期維持におけるHOXC13の必要性を検討した。作成したHOXC13-KO細胞は親株と形態状の違いはなく、増殖速度も同等であった。HPV16型, HPV18型、HPV52型、HPV58型ゲノムをそれぞれHOXC13-KO細胞に導入し、細胞あたりのHPVゲノムコピー数を継代ごとに測定した。HPV16型、HPV52型、HPV58型のゲノムコピー数は継代を重ねるごとに減少したが、HPV18型のゲノムは継代を通じ持続し、染色体に組み込まれることなくエピゾームとして存在し続けた。HPV16, HPV52, HPV58の初期遺伝子のmRNAレベルはHOXC13-KOで優位に減少したが、HPV18のmRNAレベルは低下傾向を示すものの統計的優位差はなかった。クロマチン免疫沈降によるHOXC13とHPVの初期遺伝子発現を調節する領域(LCR)との相互作用解析を試みたところ、HOXC13抗体と共沈するHPV18のLCR量はHPV16, HPV52, HPV58に比べて少なく、その物理的相互作用はHPV16, HPV52, HPV58に比べ弱いことが明らかとなった。HOXC13はHPV16, HPV52, HPV58のゲノム維持に重要である一方、HPV18のゲノム維持には必要がなく、これはHPV18のLCRとの物理的相互作用の低下が原因と推測された。
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