2022 Fiscal Year Research-status Report
ロタウイルスを基盤とした粘膜免疫誘導ワクチンベクターの開発
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21K07057
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
河本 聡志 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (60367711)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロタウイルス / リバースジェネティクス / ワクチンベクター / 弱毒化 |
Outline of Annual Research Achievements |
重要な下痢症ウイルスの一つであるロタウイルスは小腸絨毛を標的器官とすることから、ロタウイルスゲノムに他の病原体の中和抗原をコードする遺伝子を組み込めば、ロタウイルスのみならず他の病原体に対する免疫をも誘導できる粘膜免疫誘導ワクチンベクターとして活用できる可能性がある。一方で、野生型ロタウイルスは下痢病原性を有することからワクチンベクターのバックボーンには弱毒化させたロタウイルスが適していると考えられる。そこで今年度は、ロタウイルスの非構造蛋白質NSP6を発現欠損させることで下痢病原性を弱毒化できるかどうかを検討した。 ロタウイルスがコードする非構造蛋白質NSP6のin vivoでの役割を明らかにするため、リバースジェネティクスでNSP6発現欠損組換えロタウイルスを作成し、乳のみBALB/cマウスでの増殖能と下痢病原性を検討した。NSP6欠損ウイルスは増殖に伴って下痢を誘導したものの、野生型に比べて発症期間は短くなり、重症度も軽くなった。また、腸管でのウイルス量は野生型に比べて減少した。加えて、腸管のHE染色と免疫組織化学染色から、小腸病変部の回復も野生型に比べて早いことが示された。これらの結果から、NSP6はin vivoにおけるロタウイルスの増殖や病原性発現に重要であり、NSP6を発現欠損させたロタウイルスは弱毒化することからワクチンベクターのバックボーンに適していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組換えロタウイルスの下痢病原性を評価できるin vivoマウスモデルを確立できたが、ロタウイルスベクターの最適化の検討は中途である。
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Strategy for Future Research Activity |
ロタウイルスベクター最適化の実施するとともに、in vivoにおける他病原体に対する免疫誘導の改良を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は前年度に得られたデータの解析が主となったために使用額が予算額を下回った。来年度は実験が主となる予定であり当該助成金を使用する予定である。
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