2021 Fiscal Year Research-status Report
病原真菌Aspergillus fumigatusに対する感染防御機構の解明
Project/Area Number |
21K07063
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西城 忍 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (60396877)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感染免疫 / 真菌感染 / サイトカイン / 遺伝子改変動物 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
Aspergillus fumigatus (A. fumigatus)は、環境中に常在する真菌で、呼気を通じてヒトは常に暴露されている。健常人に対しては、病原性を発揮することはほとんどないが、免疫不全患者やがん患者、高齢者などでは重篤な病態を引き起こすことがあり、大きな問題となっている。そこで、本研究ではA. fumigatsuに対する感染防御機構を分子的に明らかとすることを目的とした解析を行った。 本年度は、1)A. fumigatus細胞壁成分を認識する宿主分子の同定、2) 1)で同定したレセプターの感染防御における役割の解明を行った。 まず、A. fumigatusを認識する宿主分子を同定するために、パターン認識分子を発現させたレポーター細胞を用いてスクリーニングを行った。その結果、少なくとも3種類のレセプターがA. fumigatusを認識し、細胞内にシグナルを伝達することがわかった。そこで、次にこれらのレセプターの感染防御における役割を検討する目的で、欠損細胞を用いてA. fumigatus刺激後の反応を検討した。その結果、先に同定したレセプターのうち2つは、A. fumigatusの認識後、活性化シグナルを細胞内に伝達することが明らかとなった。また、遺伝子欠損マウスを用いて感染実験を行ったところ、感染ごの生存率が顕著に低下していることから、感染防御に重要な役割を果たしていることが示された。一方で、異なる経路で感染させたところ、感染後の反応は大きく異なり、それぞれのレセプターの役割は組織特異的であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、A. fumigatusを認識する宿主分子の同定とその機能解析を目的とした。その結果、3種類の受容体を同定し、それぞれ別の細胞壁成分と結合することを見出した。さらに、感染実験により個々の受容体の役割を明らかにした。そのため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、A. fumigatusを認識する宿主分子を3種類同定し、それぞれ別の細胞壁成分と結合することを明らかにした。興味深いことに、感染実験により個々の受容体の重要性を検討したところ、感染防御における役割は各々の受容体により大きく異なることがわかった。今後は、個々の受容体の発現細胞や発現様式などを検討し、それぞれの受容体のがA. fumigatus感染に対する防御機構の時空的制御機構を明らかにしたい。
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Research Products
(6 results)