2021 Fiscal Year Research-status Report
胸腺における3型自然リンパ球の抗原提示細胞としての役割の解明
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21K07065
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山野 友義 金沢大学, 医学系, 助教 (40724183)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Aire / 胸腺 / 中枢性寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
腺はT細胞が分化・成熟する場であり、T細胞受容体(TCR)の遺伝子再編成を行うことで、多様なTCR レパトワを形成し、様々な抗原(微生物やウイルスなど)に対応できるようになる。一方で、多様なTCR レパトワの中には自己に反応性を持つ自己反応性T細胞が存在する。胸腺に存在する抗原提示細胞は自己抗原を提示することで、自己反応性T細胞をネガティブセレクションで除去したり、または、制御性T細胞へと分化させることで、自己に対する免疫寛容を確立する。胸腺には抗原提示細胞として胸腺髄質上皮細胞、樹状細胞、B細胞が存在することが知られており、これら抗原提示細胞は自己に対する免疫寛容誘導に必須であることが知られている。申請者はこれまで機能が未知であった、胸腺に存在する3型自然リンパ球の一部が自己寛容に必須な遺伝子であるAireの発現を発見していることを発見した。これらの発見に基づき、本研究では胸腺に存在する3型自然リンパ球のT細胞分化における役割および自己免疫疾患発症の関連を明らかにすることを目標とする。 本年度は主に胸腺3型自然リンパ球の特徴を解析を行った。Aireレポーターマウスと3型自然リンパ球のマーカーであるRORrtのレポーターマウスを掛け合わせたマウスを作製し、このマウスを用いて胸腺3型自然リンパ球の表現型を解析した。結果RORrtレポーター陽性細胞の一部にAireレポーター陽性細胞がいること、またRORrtレポーター陽性細胞の一部にAireレポーター陽性細胞はMHCIIの発現、補助シグナル分子の発現が高いことがわかった。これらの結果よりAireの発現を有する胸腺3型自然リンパ球は抗原提示細胞として働くことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画ではAireを発現する胸腺3型自然リンパ球の特徴を解析するという予定であったが、そのとおりの解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.遺伝子改変マウスの作製 RORrtのレポーターマウスとAireレポーターを掛け合わしたマウスをさらにRAG1KOマウスと掛け合わせることで、胸腺3型自然リンパ球がRAG1の欠損している環境でも分化が進行するかを調べる。3型自然リンパ球の分化にはRORrtが必要であることが知られているので、RORrtのレポーターマウスとAireレポーターを掛け合わしたマウスをRORrtKOマウスに掛け合わせ、胸腺における3型自然リンパ球分画がなくなるかを調べる。これらのKOマウスの解析を行うことで目的の細胞が3型自然リンパ球の定義に合致するかを評価する。 2. 胸腺3型自然リンパ球がT細胞分化に与える影響を評価 RORrtKOをAireのプロモーターでOVA抗原を発現するAireOVAマウスと掛け合わせる。このマウスをさらにOVA反応性CD4T細胞であるOT-IIマウスとかけわせる。このマウスの骨髄キメラを作製することで、3型自然リンパ球が存在しない条件下で、OVA反応性CD4T細胞がネガティブセレクションで除去されるかどうか、また制御性T細胞分化に与える影響を評価する。またRORrtKOマウスの骨髄を用いた骨髄キメラを解析することで、3型自然リンパ球の抗原提示がない環境で分化したCD4 T細胞のTCRレパトワを野生型マウスのTCRレパトワと比較することで、3型自然リンパ球が生理的条件下においてT細胞分化に与える影響を評価する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において予定していた出張がキャンセルになったため。
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