2022 Fiscal Year Research-status Report
Functional elucidation of two forms of Galectin-9 and their potential application to diagnosis
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21K07068
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
仁木 敏朗 香川大学, 医学部, 助教 (40558508)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガレクチン / エクソソーム / ソーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
EV Gal-9測定の診断マーカーとしての有用性を調べる目的でCOVID19患者(軽症患者と肺炎患者)血漿を用いて研究を行った。EVを保ったままSARS-Cov2を不活性化する方法を検討したが、Triton-X100で血漿を前処理するのが世界標準となってきたためそれを採用した。Gal-9は二つの糖鎖結合ドメインとそれを繋ぐリンカーより成り、このリンカーが様々なプロテアーゼで分解されやすいが、一方でEV Gal-9はプロテアーゼ耐性である。そこで全長Gal-9用とN末端糖鎖結合ドメイン用の二つのELISAで検体を測定し分解型Gal-9量を計算して全長型と分解型のどちらが病態をよりよく反映するかを検討した。その結果(遊離Gal-9由来だと想像される)分解型Gal-9は各種炎症マーカーと正相関し経皮的動脈血酸素飽和度とは逆相関して、重症患者を正確に見分けるマーカーであることが判った。この結果はInternational Journal of Molecular Sciencesに発表した。 COVID19患者で血中Gal-9の上昇が見られることは我々をはじめ多くの報告がなされているが、その一方でCOVID19におけるGal-9の機能については検討されていない。米国の共同研究者と調べたところin vitroにおいてGal-9はSARS-Cov2の気道上皮細胞感染とウイルス複製を増強した。その一方でヒトACEトランスジェニックマウスモデルではGal-9前処置によってSARS-Cov2感染抑制と罹患マウスの生存延長が示された。このようにin vitroとin vivoで逆の効果が見られたことより追加検討が必要である。これらの研究成果はJournal of Molecular Cell BiologyとFrontiers in Immunologyにそれぞれ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
THP-1細胞由来のエクソソームGal-9を免疫沈降するポリクロを前年度スクリーニングにより見出したが、その後の検討によりこのポリクロがガレクチンファミリーの別タンパク質にも交叉することが判った。Gal-9特異的な抗体にするために精製用の各種ガレクチンカラムを作成した。 COVID19重症度マーカーとしてのGal-9測定の有用性について論文化(International Journal of Molecular Sciences)。SARS-Cov2不活性化のためにTriton-X100処理を行ったため当初予定していた方法でのEV Gal-9定量は出来なかったが、その代替として前述のように全長Gal-9を定量するELISAとN末端側の糖鎖結合ドメインを定量するELISAを用いて両測定の差より分解Gal-9濃度を計算した。EV Gal-9はプロテアーゼ耐性であることから分解Gal-9は遊離のGal-9に由来することが予想され、間接的ながらEV Gal-9と遊離Gal-9の量比を推定できると考えている。 COVID19におけるGal-9の機能について米国共同研究者と追及し論文化した(Journal of Molecular Cell Biology、Frontiers in Immunology)。COVID19におけるGal-9の機能がin vitroとin vivoで食い違ったため両者を矛盾なく説明することは現時点では出来ておらず今後の追加研究が必要である。 EV Gal-9活性測定用にマウスナイーブT細胞のTh17/Treg分化アッセイの導入を試みたがあるキットを用いて精製したナイーブT細胞画分に有色の沈殿物が混入していた。検討の結果この混入物を除去しないとTh/Treg分化の効率が低くEV Gal-9評価用には使えないことが判明し代替品の新ロット供給を待っている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID19患者血漿はTriton-X100でウイルスの不活性化を行ってから用いたので当初予定していた方法でEV Gal-9を定量することは出来なかった。今後は他のウイルス疾患の患者血についてもウイルス不活性化後に用いる。そこで今回採用したように全長Gal-9定量とN末端糖鎖結合ドメイン定量を行い、間接的にEV Gal-9と遊離Gal-9量を調べる方法を用いる。 THP-1細胞由来のEV Gal-9の活性測定方法としてマウスナイーブT細胞のTh17/Treg分化アッセイを予定しているが、購入したナイーブT細胞精製キットの性能に問題があり、別のキットを再度購入する予算はないので同キット代替品の新ロットが製造を待って再開する。本アッセイに代わる高感度かつ低予算で導入できる方法を文献検索して選択肢を用意する。 前述のようにウイルス血ではEV Gal-9の直接的な定量は行わないが、別疾患については当初予定の定量法が使える可能性があり、誤嚥性肺炎の患者血はその候補と考えている。この疾患についても有用な血漿マーカーが必要とされており、鋭敏な炎症・重症度マーカーであるGal-9定量の有用性を検討したい。検体を提供のできる病院との共同研究契約の締結と学内倫理員会への申請を進める。 EV Gal-9の免疫沈降用のポリクロを前述のガレクチンカラムで精製し、予定通り免疫沈降とGal-9と結合している因子の分析を行う。
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Causes of Carryover |
EV Gal-9活性測定のために新しいアッセイを導入したが、それに必要なマウスナイーブT細胞精製キットに問題があることが判り、新ロット製造を待つことになった。そのためにキットの追加購入およびそのアッセイに必要なフローサイトメーター用抗体の購入を買い控えたため差額が生じた。
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Research Products
(6 results)