2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K07069
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
幸脇 貴久 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (90780784)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自然免疫学 / 新型コロナウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は新型コロナウイルスの自然免疫応答の分子機構の解明と、宿主のI型インターフェロン産生を新型コロナウイルスが抑制するメカニズムの解明の二つである。申請者は新型コロナウイルス感染細胞から抽出したRNAを細胞に導入し、インターフェロン応答を調べた。その結果、新型コロナウイルスRNAにはI型インターフェロン誘導能が有ることがわかった。また、ゲノム編集技術を用いて細胞質内の核酸センサーであるRIG-IとMDA5のノックアウト細胞を作製し新型コロナウイルスRNAを用いて刺激した結果、RIG-IとMDA5両方ともがウイルスRNA認識に必須であることがわかった。更に、コロナウイルスRNAを1K base ずつ分割してRNAを人工的に合成し、哺乳細胞にトランスフェクションした。その結果、I型インターフェロンを誘導するRNAの部位の同定に成功した。そのRNAの二次構造を予測した結果、I型インターフェロンの誘導可能なRNAは部分的に2本鎖構造を取っていることがわかった。これはRIG-IやMDA5が新型コロナウイルスを認識するという結果と一致している。 更に、宿主のI型インターフェロン経路を新型コロナウイルスが抑制するメカニズムの解明のために、コロナウイルスのアクセサリータンパク質を全てクローニングし、I型インターフェロンのプロモーターレポーター法でインターフェロン誘導能を評価した。その結果、7a, 7b, 9b, 14, 3CLにはI型インターフェロンの誘導を抑制する機能があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由として、当該研究課題での成績を論文として発表できたことが挙げられる。今後も、更に研究を発展させていく所存です。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度はウイルス核酸センサーのうちRIG-I様受容体に着目して研究を進めた。次年度では以下の点に着目して研究を遂行する。 1. Toll様受容体による新型コロナウイルスの認識機構の解明。 2. 実際の新型コロナウイルスを用いたin vitroでの感染実験を行いウイルス感染におけるウイルス核酸認識機構の解明。 3. その他のウイルス(βコロナウイルス)のタンパク質による自然免疫抑制機構の解明。 4. 生体内での自然免疫応答機構の解明のために、コロナウイルスレセプターのACE2トランスジェニックマウスを用いた感染実験の実施。
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Causes of Carryover |
当該研究課題と似た内容で民間の助成金を受領しており、配分された研究費を全額使用するに至らなかった。次年度では新たな実験系の確立などで相当量の試薬などの物品を購入する予定であるので、繰越金と新たに配分される助成金を使用する予定である。
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