2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of mechanisms of the hypoxic responses by BET proteins
Project/Area Number |
21K07093
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
村松 智輝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (90732553)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | BET阻害剤 / 血管新生 / VEGFA / がん転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
BRD4を代表とするBETタンパク質 (BRD2, 3, 4, T)は、エピジェネティックリーダーとして細胞内の転写調節を担っており、がん治療標的として期待されている。申請者は、がん細胞の低酸素応答メカニズムを解明するため、VEGFA発現を指標とした化合物スクリーニングから低酸素応答遺伝子の発現を抑制するBET阻害剤 (BETi)を同定してきた。しかし、BETタンパク質による低酸素応答制御は、報告が限られており不明な点が多い。 本年度の研究において、BETiの処理および低酸素下における遺伝子の発現変化を射発言アレイによって解析した。その結果、血管新生および低酸素に関連する遺伝子の発現変化が優位に抽出されてきた。それら抽出した遺伝子が、BETiの主な標的の一つであるBRD4によって発現調節を受けているのかをChIP-PCRで検討した。その結果、VEGFAをはじめとする血管新生促進遺伝子であるCXCR4やANGPTL4などの発現調節にもかかわっていることが示された。 さらに、BETiはがん細胞の増殖を抑制する働きを持っていることから、増殖に関わる遺伝子も発現アレイの結果から探索した。その結果、BRD4の制御を受け、細胞増殖に関与するINHBA遺伝子を同定した。INHBAは、ホモダイマーを形成することによりActivin Aとして機能し、TGF-b経路の制御を担っている。INHBAのsiRNAによる発現抑制では、細胞増殖を抑制することを明らかにし、TCGAのHead and neck cancer臨床検体を用いた解析では、INHBAの発現が高い検体では予後が不良であることが示された。以上のことから、BETiによる血管新生・細胞増殖メカニズムの一端を明らかにすることができた。
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