2023 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌肝転移における腫瘍微小環境での好中球の機能・動態解明
Project/Area Number |
21K07097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
板谷 喜朗 京都大学, 医学研究科, 助教 (80814029)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腫瘍微小環境 / 大腸癌肝転移 / 癌代謝 / TAN / TAM |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌はひとたび転移をきたすと致命的となるケースが多く、ステージ4大腸癌の5年生存率は17.3%と低い(国立がん研究センターがん情報サービス)。本研究では予後不良な転移性大腸癌の新たな治療戦略の構築を目指し、大腸癌の腫瘍微小環境・癌代謝変化に注目し、大腸癌肝転移の促進機序や薬剤耐性機序などを、マウスモデルを用いて検証することを目的とした。我々は自然発生大腸癌肝転移マウスモデルを作成した。つまり、villinプロモーターでCreを発現するマウスにKras(LSL-G12D)変異とPtenノックアウト(-/-)の掛け合わせ(villin-KPマウス)、Kras(LSL-G12D)変異とTrp53ノックアウト(-/-)の掛け合わせ (villin-KTマウス)において、自然発生大腸癌原発巣を形成することに加えて、肝転移巣を形成することが分かった。このvillin-KPマウス、villin-KTマウスを用いて、原発巣と肝転移巣において、腫瘍微小環境や癌代謝変化に着目し、肝転移の形成過程で生じている現象解明を試みた。まず、大腸癌肝転移巣の動態解明においては、マウス腹部にabdominal windowを固定し直接観察可能かを試みたが、転移頻度が低いことや転移する部位の予測が困難なことから、自然発生モデルではなく、これらのマウスから樹立した肝転移同所移植モデルを用いて観察を行い、現在解析中である。また、癌代謝に関しては、KRAS変異大腸癌はconsensus molecular subtype 3 (CMS3)の代謝型大腸癌として知られており、特にアミノ酸代謝変化に着目して解明を試み、アスパラギン合成酵素ASNSの発現が正常上皮由来オルガノイドと比較し上昇していることを見出した。今後この代謝変化に着目し薬剤耐性や新規治療法を探索する予定である。
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