2021 Fiscal Year Research-status Report
Inverted apicobasal polarity of lung micropapillary adenocarcinoma-like organoids and its relationship to metastasis
Project/Area Number |
21K07098
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅田 大介 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40867339)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 微小乳頭がん / 上皮頂底極性 / 低酸素 / 細胞外基質 / 三次元培養 / MUC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺微小乳頭がん(micropapillary carcinoma: MPC)のin vitro 培養モデルを構築するために、10種類のヒト肺腺癌由来細胞株を三次元培養系に供した。さらに、これまでにMPCでは低酸素により誘導される遺伝子群の発現亢進が報告されていることから、三次元培養におけるがん微小環境に着目し、酸素濃度や細胞外基質等の最適化を図った。その結果、細胞株Aにおいて低酸素および細胞外基質Mを用いた三次元培養によりMPC様構造を誘導することに成功した。また、細胞株AにおいてMPCに特徴的なMUC1の発現も同様の条件で誘導されることを発見した。さらに、上記条件によるMPC様構造誘導およびMUC1発現亢進には転写因子Hが重要であることをCRISPR/Cas9を用いた転写因子Hノックアウト細胞を作製し、証明した。一方で、RhoファミリーGタンパク質であるRhoA、Rac1およびCDC42の活性調節はMPC構造に重要な上皮頂底極性形成に関与することが報告されている。本研究では、RhoAやそのeffector分子であるRho-kinase(ROCK)が上記条件によるMPC様構造誘導に関与することを、各種ROCK阻害薬やRhoAのdominant negative変異体を用いて明らかにした。このように、すでにMPC様構造体を細胞株を用いて作製する方法を確立しており、これを「MPC様構造体の製造方法」として発明特許出願した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでにMPC様構造体を細胞株を用いて作製する方法を確立しており、今後はこのMPC様構造体を用いてMPCの悪性化機構の解明およびMPCに対する効果的な薬物のスクリーニングができると考えられるから。
|
Strategy for Future Research Activity |
作製したMPC様構造体を用いて、MPCに対する抗がん剤の標的となり得る分子をすでに複数同定している。その中でも、細胞膜タンパク質である分子Bについては、ヒト化モノクローナル抗体がすでに開発されており、その抗体製剤をMPCの予後改善薬として臨床応用できないかと考えている。上記抗体製剤はすでに製薬会社Cにおいて臨床応用が検討されているが、MPCへの応用は検討されていない。まずは、作製したMPC様構造体における上記抗体製剤の効果をin vitroで確認し、上記抗体製剤のMPCへの応用に関する用途特許を出願する予定である。その後、製薬会社Cに「MPCの予後改善薬としての分子Bに対する抗体製剤の開発」の共同研究を持ちかけ、同抗体製剤のMPCへの臨床応用を実現させる予定である。
|