2021 Fiscal Year Research-status Report
エンドソーム上でEGFRの分解・リサイクルを決定する新規分子基盤
Project/Area Number |
21K07104
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
植村 武文 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80548925)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メンブレントラフィック / EGFR / がん / エンドソーム / クラスリンアダプター |
Outline of Annual Research Achievements |
1. gamma1を含むAP-1複合体(adaptor protein complex-1)の機能解析。gamma1を含むAP-1複合体の機能解析がリサイクリングエンドソーム上でEGFR(上皮成長因子受容体)を認識し、細胞膜にリサイクルすることを見出し、論文公表を行った(Oncogenesis 2021)。過去に観察したGGA2ノックダウンの表現型がgamma1ノックダウンの表現型と類似しており、その原因が細胞膜へのEGFRリサイクル異常であることを明らかにした。 2. gamma2を含むAP-1複合体の機能解析。恒常的にgamma2サブユニットをノックダウンした、肺がん由来のH1975細胞と、正常網膜色素上皮由来のARPE-19細胞を作製した。ノックダウン細胞ではAP-1複合体のsigmaサブユニットの発現量が顕著に減少したが、他のサブユニット(mu、beta、gamma1サブユニット)の発現量には影響しなかった。ゲル濾過により、gamma2ノックダウンによるAP-1複合体の発現量を解析したところ、影響が見られなかった。 gamma2サブユニットを含むAP-1複合体の局在をgamma2抗体を用いた免疫染色により解析した。gamma2陽性構造は細胞質中にドット構造として存在し、それはgamma1と共局在していた。gamma1はリサイクリングエンドソームマーカーであるRab11と共局在する事から、以上の結果はgamma2サブユニットを含むAP-1複合体もリサイクリングエンドソームに発現する事を示唆する。 gamma2サブユニットを恒常的にノックダウンしたH1975細胞、及びARPE-19細胞の増殖能を解析したところ、gamma2ノックダウンで顕著に低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.gamma1を含むAP-1複合体によるEGFRの寿命調節を明らかにし、論文として公表できたため(Oncogenesis 2021)。同論文では、過去に見出したGGA2ノックダウンの表現型の原因が細胞膜へのEGFRリサイクル異常であることを明らかにできた。
2.gamma2サブユニットを含むAP-1複合体の解析ツールとして、gamma2を安定的に発現抑制するH1975細胞およびARPE-19の作製に成功したため。その結果、細胞増殖能を解析でき、抗体の特異性も確認しgamma2の局在を解析できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. gamma2サブユニットを含むAP-1複合体のカーゴ探索。 2. gamma2 ノックアウト細胞の作製。 3. xenograft実験による腫瘍形成能の解析。 4. ヒトがん組織におけるgamma1, gamma2, GGA2の発現解析。 5. EGFR運搬に関わる因子の探索。
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Research Products
(3 results)