2023 Fiscal Year Annual Research Report
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による上皮間葉転換誘導の分子機序解明と抑制法開発
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21K07106
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
平本 正樹 東京医科大学, 医学部, 教授 (70297828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40743331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん / 上皮間葉転換 / チロシンキナーゼ阻害薬 / GAK / アクチン細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの克服には、再発・転移の制御が重要である。転移の始まりは局所からの浸潤であり、浸潤能の獲得には上皮間葉転換(EMT)が鍵となる。さらにEMTは分子標的薬に対する薬剤耐性獲得や、肺線維症などの薬剤性肺障害にも関わると考えられている。本研究者らは、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKIs)の副次的標的分子cyclin G associated kinase (GAK)の欠損によって、アクチン細胞骨格のダイナミクスが大きく変化し、EMT様変化が誘導されることを見出した。本研究では、「EMTにおけるGAKの分子機能と生理作用の解明」と「GAKまたはその関連因子を分子標的としたEMT抑制法の開発」を目的として、解析を遂行した。 令和3年度には、1)GAK欠損による上皮系マーカー遺伝子の発現低下と、間葉系マーカー遺伝子の発現上昇を明らかにした。2)GAK欠損によって、細胞遊走能と細胞浸潤能が亢進することを明らかにした。3)GAKと相互作用するタンパク質(複合体)について解析を行った。 令和4年度には、GAK欠損によるEMT誘導の分子メカニズムについて解析を進めた結果、1)ミオシン脱リン酸化酵素を介したアクトミオシン制御において、GAKによるRho-ROCK経路との拮抗的作用が示された。2)GAKの新規リン酸化基質が複数同定され、アクトミオシン制御との関わりについても示唆された。3)モデル動物を用いた検証として、ゼブラフィッシュへの細胞移植アッセイについて予備実験を行った。 令和5年度には、EMTの特徴であるストレスファイバー形成および細胞運動能亢進に関わるGAKの分子機能について解析を行った結果、1)GAKによるミオシン脱リン酸化酵素に対するリン酸化が、ミオシン脱リン酸化酵素の複合体形成と酵素活性に影響することが示唆された。2)ゼブラフィッシュへの細胞移植アッセイを進め、GAK欠損によって細胞生着率が亢進することが示された。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] CDK4/6阻害薬abemaciclibが誘導する細胞死と連動した空胞形成のメカニズムの検討2023
Author(s)
3.日野浩嗣, 田中良法, 池田俊勝, 原知世, 竹谷浩介, 高野直治, 平本正樹, 相澤信, 宮澤啓介, 江藤真澄, 平井宗一
Organizer
第96回日本生化学会大会
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