2022 Fiscal Year Research-status Report
Recognition of non-canonical MHC-I by epithleial cells and elimination of transformed cells
Project/Area Number |
21K07107
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鴨下 渚 早稲田大学, 高等研究所, 研究助手 (30835814)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞競合 / 細胞死 / がん変異細胞 / MHC-I |
Outline of Annual Research Achievements |
MHC-IbとAltRのタンパク質間相互作用の詳細を解析することとしていたが、MHC-Ibはリバースシグナルにより細胞死を誘導することがわかってきた。すなわち、 AltRに対して競合的に作用することで、細胞の排除に対して抑制的に働いたのではなく、DLA12/MHC-Ibは他の表現系である細胞死の誘導に寄与していることがわかってきた。これは、当初のDLA12が細胞排除機構に対して抑制的に働くという仮説とは異なっている。しかしながら、DLA12遺伝子欠損が変異細胞の排除効率を促進した理由として、細胞死誘導へのスイッチングであることがわかってきた。細胞の排除効率を解析した結果、 extrusion効率はDLA12/MHC-Ibによって抑制されていたが、細胞死効率はDLA12/MHC-Ibの効果により促進しており、extrusionと細胞死を合わせて、排除効率全体 でみると排除は促進していることがわかった。これらのことから、DLA12/MHC-Ibは、extrusionに対して抑制的に働くのではなく、細胞死へとスイッチングする ことにより、がん変異細胞の排除を促進していることが示唆された。以上のように、新たなる細胞死誘導機構がextrusionと連続する機構が想定された。この機構の解明に必須であるMHC-Ibのリガンド候補分子を同定し、同定したリガンドによるMHC-Ibを介した細胞死誘導機構について解析した。その結果、MHC-Ibからの細胞内リバースシグナルは、MAPK経路を活性化していた。これにより、Caspase3の活性化を介したApoptosisであることがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DLA12/MHC-Ibは、extrusionに対して抑制的に働くのではなく、細胞死へとスイッチングする ことにより、がん変異細胞の排除を促進していると考えられた。この細胞死を促進する機構の解明においては、MHC-Ibを刺激し、かつ、細胞死を誘導するリガンドの同定が必須である。本年度では、この細胞死を誘導するリガンドの同定にも至っている。また、すくなくとも、細胞死誘導のためのシグナル経路を見出しており、in vitroでの解析を主に完遂することを目標としてきた、本年度のスケジュールどおりである。さらに令和3年度では、in vitroの実験に加えて、マウスin vivo発がん実験でも上記機構が発がんを抑制するかどうかを検証するための実験にも着手している。このように、マウス実験にも着手していることから、おおむね予定どおりである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、肺in vivo細胞競合モデルでのMHC-Ibとカウンターパートの評価をおこなう。生体内におけるMHC-Ibを介した変異細胞排除の抑制機構を明らかにするために、すでに構築済みであるアデノ随伴ウイルス6(AAV6)を用いたマウス肺in vivo細胞競合モデルを用いて、解析をおこなう。MHC-Ibおよび対象となる遺伝子のcDNAあるいは遺伝子抑制のためのshRNAそれぞれを、独立して組み込んだAAV6を鼻腔もしくは気道より投与し、肺特異的に感染させ、RasV12変異細胞を肺上皮にモザイク状に発現させることで、MHC-Ibを介した変異細胞の排除抑制機構の生理的機能を明らかにする。
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