2021 Fiscal Year Research-status Report
Production of chromosomal structural abnormalities using cultured cell system
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21K07108
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
稲垣 秀人 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 講師 (70308849)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 染色体転座 / 染色体複雑構造異常 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がんや先天異常症において観察される染色体転座などの、染色体複雑構造異常の発生機序を解明するため、モデル培養細胞系を構築することを目指している。そしてこのモデル系において、切断および再構成の2段階で起こる染色体構造異常を人工的に誘導し、関与する因子を同定すること、また、切断時の染色体核内配置に着目し、切断の発生するタイミングやクロマチン構成からその発生原因を明らかにすることを目標とする。本年度は、培養細胞の培養条件等の検討や、モデル細胞の作製などの基盤作りをおこなった。具体的には、構造異常を引き起こす遺伝子変異としてCDK12に着目し、その変異によって引き起こされるある距離間で発生するタンデム重複を人為的に発生させるモデル系の構築を試みた。まず、染色体数が比較的保たれているHCT116培養細胞において、CDK12ノックアウト細胞を作製した。CRISPR-Cas9によるゲノム編集にて、両アレルが破壊された細胞を選ぶ目的で、コード領域にフレームシフト変異が両アレルに導入された細胞を選抜し、シングルクローン化した。また、構造異常発生を効率よく検出する目的で、HPRT1遺伝子上で再構成されることでHPRT1活性を失って選抜できる系を用いる計画である。そのため、HCT116細胞の負の選択条件について、HPRT1によって細胞毒性を有する物質に変化する6-thioguanineの培地における最適濃度の検討をおこなった。さらに、染色体の安定性などを考慮したHCT116の培養条件の検討もおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル細胞系の構築については当初の目標に概ね沿った形で研究進行できており、今のところ大きな問題は生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したCDK12のノックアウト細胞に、HPRT1遺伝子の1箇所に切断を導入し、6-TG存在下で生存したHPRT1破壊細胞の遺伝子再構成を詳細に検討する。そのために、生存集団をバルクで取得し、ロングリードシーケンサーを用いてHPRT1周辺領域のみを集中的にシーケンシングする手法を計画している。できるだけ効率よくデータを取得できる方策を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画で使用予定だった試薬消耗品類が既存のもので可能であったため、研究費の効率利用のため次年度の試薬類などに使用する予定とした。また海外学会がオンライン開催であったため、当初計上した旅費を使用する必要がなくなったため、これについても効率利用のため次年度の試薬類などに使用する予定とした。
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