2021 Fiscal Year Research-status Report
MyD88阻害によるKRAS変異大腸がんの新規治療法の開発
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21K07114
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
梶野 リエ 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 主任研究員 (20633184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 正博 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 副所長兼分野長 (60362464)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸がん / 大腸がんマウスモデル / 大腸腫瘍オルガノイド / KRAS変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの薬物療法は、正常細胞への悪影響が少なく効果的にがん細胞の増殖を抑制するものが理想的である。大腸がんに対する化学療法は進歩しているが、治療効果は十分とは言い難く、新たな治療戦略が求められている。 私たちはこれまでに、MyD88の機能阻害が腸管正常細胞の増殖には大きく影響せずにWnt経路に変異を持つ大腸腫瘍細胞の増殖を抑制し、細胞死を誘導することを明らかにした。また、その効果はKras変異があると低下することを示唆する結果を得た。本研究では、大腸腫瘍細胞のKras変異がMyD88阻害による増殖抑制・細胞死誘導に対して抵抗性をもたらす分子メカニズムを解明し、Kras変異の影響を打ち消す標的因子の候補を得ることを目的としている。 今年度はまず、タモキシフェン誘導型Ctnnb1変異マウスとCtnnb1; Kras複合変異マウスの大腸正常組織からそれぞれ大腸正常オルガノイドを作製し、その後、in vitroでタモキシフェン処理によりC(Wnt経路活性化変異)オルガノイドとCK (Wnt経路活性化変異+Kras活性化型変異) オルガノイドを作製した。分子メカニズムの解明の手がかりとしてCオルガノイドとCKオルガノイドで発現が変化する遺伝子を探索するため、これらのオルガノイドのMyD88阻害剤未処理および処理サンプルを調製し、RNA-seq解析を実施した。解析結果から変化している因子や経路をパスウェイ解析等により探索し、標的因子の候補を挙げた。 さらに研究を進め、候補因子の中から腫瘍細胞の増殖・生存を抑制し、かつ正常細胞への悪影響が少ない標的因子を同定することにより、革新的な大腸がん治療戦略を開発する基盤につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C(Wnt経路活性化変異)とCK(Wnt経路活性化変異+Kras活性化型変異)オルガノイドのMyD88阻害剤未処理および処理サンプルを調製し、RNA-seq解析に加えて安定同位体標識を用いた定量的プロテオーム解析を実施する予定であった。しかし、定量的プロテオーム解析については費用の面から実施を見送った。他の計画については、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、RNA-seq解析の結果から、C(Wnt経路活性化変異)オルガノイドとCK(Wnt経路活性化変異+Kras活性化型変異)オルガノイドで発現が変化しており、標的因子の候補として挙げられた因子や経路についての検討を進める。標的因子の阻害剤やドキシサイクリン(Dox)誘導性shRNA/遺伝子発現とMyD88阻害剤との併用により、CKオルガノイドの生育がCオルガノイドと同程度まで抑制されるか検討する。さらに、ヒト大腸がん組織検体より作製したオルガノイドでも検討し、同様の抑制効果がみられた標的因子に絞り込み、次のステップとして、大腸がんマウスモデルを用いた個体レベルでの検討につなげていきたい。 大腸がんマウスモデルとしては、大腸がん初期のマウスモデルであるApc変異マウスを用いる。また、標的因子について個体レベルで検討するために必要なMA-CreとMAK-Cre (M:MyD88FL/FL, A:ApcΔ716, K:LSL-KrasG12D,Cre:Villin-CreERT2) 複合変異マウスを作出する。これらの複合変異マウスにおいて、腸管腫瘍形成を指標にした検討のための予備実験を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、研究実績の概要に記載したCオルガノイドとCKオルガノイドサンプルについて、RNA-seq解析に加えて安定同位体標識を用いた定量的プロテオーム解析を実施する予定であったが、定量的プロテオーム解析については費用の面から実施を見送ったため。 これらの助成金については、次年度計画している実験に用いる試薬等の費用が計画よりも多く必要になるため、試薬等の購入に充てる。また、次年度途中から計画している大腸がんマウスモデルを用いた研究でも、多くの試薬が必要になるため、これらの購入費用にも充てる。
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