2021 Fiscal Year Research-status Report
DKK1/CKAP4シグナルを標的とした肝細胞癌に対する新規抗癌治療の開発
Project/Area Number |
21K07123
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
権 英寿 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (70648394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 智雄 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (20301880)
松本 真司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20572324)
佐田 遼太 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60869783)
福本 巧 神戸大学, 医学研究科, 教授 (70379402)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / DKK1 / CKAP4 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌412例の免疫組織染色の結果、DKK1発現陽性例は53%であった。DKK1発現陽性例は陰性例と比較して、有意に5年生存率、無再発生存率が低かった。また、CKAP4発現強陽性例は22%であり、CKAP4強陽性例はそれ以外の症例と比較して、5年生存率、無再発生存率ともに有意に低かった。さらにDKK1、CKAP4の共染色性のパターンに分けて評価を行なった結果、DKK1-CKAP4を共発現する症例を11%認めた。カプランマイヤー法を用いて共発現の予後への影響を検討した結果、共発現例はその他の症例と比較して、5年生存率、無再発生存率ともに有意に予後不良であった。Cox比例ハザード解析では、単変量解析において、年齢60歳以上、腫瘍数2個以上、腫瘍径5cm以上、リンパ節転移陽性、脈管侵襲陽性、UICC stageIIIA以上、DKK1-CKAP4共発現が有意に予後悪化に関連する因子として確認された。多変量解析では、年齢60歳以上、腫瘍数2個以上、脈管侵襲陽性、DKK1-CKAP4共発現が有意差をもって予後悪化に関連する因子として確認された。これらの結果から、DKK1-CKAP4の共発現が肝細胞癌の予後に関連している可能性が考えられた。 並行してDKK1-CKAP4シグナルによる腫瘍形成制御機構の解析を行なった。肝細胞癌由来株であるJHH7を用いて、DKK1、CKAP4ノックダウンによる腫瘍細胞の増殖への影響について検討を行なった。Colony formation assayによる評価では、DKK1ノックダウン、CKAP4ノックダウン共に腫瘍細胞の増殖を抑制した。さらに、JHH7のin vivoゼノグラフトモデルにおいても、CKAP4のノックダウンは腫瘍細胞の増殖を抑制した。これらの結果は、DKK1、CKAP4シグナルが肝細胞癌の腫瘍増殖に関連することを示唆していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝細胞癌におけるDKK1-CKAP4の染色性及び発現状況、さらに発現パターンと予後を含む臨床病理学的因子との関連について明らかにすることができた。DKK1-CKAP4が肝細胞癌の悪性度にどのように関連するかについても、そのシグナル伝達系に関する研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
肝細胞癌の増殖に関連するDKK1-CKAP4シグナルの解明を進める。さらに、肝細胞癌細胞株及びゼノグラフトモデルを用いて抗CKAP4抗体による抗腫瘍効果を検討する。それと並行して、肝細胞癌のオルガノイドモデル系を確立する。
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Causes of Carryover |
肝細胞癌オルガノイド作製の実験を進めるにあたり、臨床研究に関する倫理審査が必要であるが、その申請に時間を要しており、オルガノイド関連の実験に着手できていないため。今年度には承認の見込みがあり、承認後にオルガノイド関連の実験を開始する。同時に必要物品の購入を助成金で行う予定。
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