2022 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌関連遺伝子SPOPによるDNA複製ストレス解消の分子基盤
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21K07126
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前川 大志 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (10771917)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SPOP / DNA複製 / 脂質代謝 / タンパク質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度においては、2021年度において見出していた不死化ヒト角化細胞 (HaCaT cells)におけるSPOPのDNA複製制御に焦点を当てて解析を進めた。その結果、SPOPを発現抑制したHaCaT cellsでは、DNA複製の初期のステップであるDNAライセンシングが著しく阻害されていることが分かった。具体的には、DNAライセンシング因子がタンパク質レベルで顕著に減少していた。 SPOP依存的な翻訳制御の分子基盤をさらに進めた結果、シクロへキシミドのパルスチェイス実験と、メチオニンアナログを利用したクリックケミストリーにより、SPOPがDNAライセンシング因子の翻訳を正に制御していることを見出した。DNAライセンシング因子の翻訳阻害により、DNA合成が進まず、G1/S arrestが引き起こされていることを明らかにした。興味深いことに、この表現型はヒト前立腺癌細胞では見られなかった。角化細胞に特異的な分子機構である可能性がある。 さらに、2021年度において見出していたSPOP依存的な脂質代謝変動をノンターゲットリピドミクスにより計測した結果、SPOPの発現抑制によって、特定のリン脂質サブクラスの量が優位に低下していることが分かった。現在、当該リン脂質サブクラスの代謝がSPOPによりどのように制御され、DNA複製にどのように影響を及ぼしているかを検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DNA複製を制御するSPOP結合タンパク質の実体が未同定であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、SPOP依存的な脂質代謝とDNA複製制御の因果関係を検証する。具体的には、当該脂質代謝を担う遺伝子の発現抑制系におけるDNA複製をEduの取り込みアッセイや、マーカー遺伝子の定量PCRなどで検証する。 さらに、外部からの脂肪酸やリゾリン脂質などの添加により、当該脂質を強制的に細胞内で増加させる系の構築を試みる。次に、当該細胞におけるDNA複製を検証し、さらにSPOPの発現抑制を行いことで、SPOP、脂質代謝、DNA複製の上下関係を決定する。SPOPの結合タンパク質については、免疫沈降/質量分析法、近接ビオチン化法/質量分析法、プロテインアレイ/アルファスクリーン法により探索し、今まで見出してきた表現型への関与を検証する。角化細胞だけではなく、前立腺癌細胞や他の癌細胞への拡充も進める。
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Research Products
(3 results)