2023 Fiscal Year Research-status Report
胃がん関連長鎖non-coding RNAによるストレス顆粒と発がん機構の解析
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21K07130
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
北嶋 洋志 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90777971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20381254)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胃がん / long non-coding RNA / ストレス顆粒 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
胃がんにおけるTM4SF1AS1の作用機序を解明するために、RNA pull-down-MSやChIRP-MSによる網羅的な相互作用因子の同定を行い、結果的にTM4SF1AS1がストレス顆粒の形成促進に関与することを見出した。相互作用因子の一つRACK1は、MTK1とp38/JNKの活性化を介してアポトーシスを誘導する一方、ストレス顆粒内に隔離されアポトーシスが抑制される。申請者は、TM4SF1AS1がRACK1の顆粒内への隔離を促進し、ストレスのない状態で胃がん細胞のアポトーシスを抑制する可能性を示した。一方でTM4SF1AS1と相互作用するPur-αとYBX1にも着目した。Pur-αとYBX1はTM4SF1-AS1とストレス顆粒に共局在し、TM4SF1-AS1低発現の胃がん細胞株SNU638ではPur-αまたはYBX1の過剰発現は顆粒構造体を形成するものの、ストレス顆粒ではないことが確認された。Pur-αまたはYBX1ノックダウンはTM4SF1-AS1の過剰発現によるストレス顆粒形成を減弱し、またp38のリン酸化やアポトーシスの亢進、TM4SF1-AS1依存的なcell viabilityの抑制を示した。以上から、Pur-αとYBX1はTM4SF1AS1と協調的にストレス顆粒形成に関与すると考えられた。 先のChRIP RNA-seqで得たTM4SF1-AS1と結合しうるmRNAにアポトーシス促進因子Bim (遺伝子名BCL2L11)があり、RIPアッセイによりPur-αやYBX1、ストレス顆粒形成因子G3BP1/2と結合することが示唆された。ウェスタンブロットによりTM4SF1-AS1の過剰発現がBimの発現量を減弱することが示されたため、TM4SF1-AS1はPur-αやYBX1と共にストレス顆粒を介してBimを翻訳抑制し、アポトーシスを抑制することが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TM4SF1AS1の新たな相互作用因子としてPur-αとYBX1を同定し、TM4SF1AS1と協調的にストレス顆粒形成の促進やアポトーシスの抑制に関与することを明らかにした。TM4SF1AS1がアポトーシス促進因子BimのmRNAを標的とし翻訳抑制をするという、RACK1に対する機能抑制とは異なる方法でアポトーシスの抑制に寄与する可能性も示唆された。またTM4SF1AS1によるストレス顆粒の形成促進とアポトーシスの抑制に関する論文は、2023年6月に国際誌にアクセプトされた。
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Strategy for Future Research Activity |
胃がん細胞におけるTM4SF1AS1によるストレス顆粒の機能を、in vivoで検証する。shRNAによるTM4SF1AS1の安定ノックダウン胃がん細胞株などを用いて、TM4SF1AS1ノックダウンによるアポトーシスやストレス顆粒への影響をマウスゼノグラフトモデルで評価する予定である。また、TM4SF1-AS1やPur-αやYBX1によるBimの翻訳抑制の詳細なメカニズムの解析を試みる。
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Causes of Carryover |
論文投稿に関連する費用の中で一番大きな論文掲載料を他から支出したため、今年度の使用額が大幅に抑えられた。さらにデータを精緻なものにするために補助事業期間を延長し、現在検討している実験等に必要な試薬消耗品費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] TM4SF1-AS1 inhibits apoptosis by promoting stress granule formation in cancer cells.2023
Author(s)
Kitajima H, Maruyama R, Niinuma T, Yamamoto E, Takasawa A, Takasawa K, Ishiguro K, Tsuyada A, Suzuki R, Sudo G, Kubo T, Mitsuhashi K, Idogawa M, Tange S, Toyota M, Yoshido A, Kumegawa K, Kai M, Yanagihara K, Tokino T, Osanai M, Nakase H, Suzuki H.
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Journal Title
Cell Death Dis.
Volume: 14
Pages: 424
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] A lncRNA associated with chronic gastritis and gastric cancer promotes stress granule formation and inhibits apoptosis.2023
Author(s)
Hiroshi Kitajima, Reo Maruyama, Takeshi Niinuma, Akira Takasawa, Eiichiro Yamamoto, Kazuya Ishiguro, Ayano Yoshido, Masahiro Kai, Makoto Osanai, Takashi Tokino, Hiroshi Nakase, Hiromu Suzuki
Organizer
第82回日本癌学会学術総会
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