2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着分子と膜受容体が制御するがん細胞の増殖と停止、その再開のスイッチ機構
Project/Area Number |
21K07150
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
慶田城 迅 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (00754558)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ネクチン-4 / ErbB2 / p95-ErbB2 / SOX2 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がんの発症と転移の過程におけるがん細胞の増殖・運動の停止・再開のスイッチ機構を解明することを目的とし、細胞接着分子ネクチン-4、成長因子受容体ErbB2、ErbB2のバリアントであるp95-ErbB2この機構に果たす機能の解析を行い、本年度は以下の結果が得られた。 (1)乳がん細胞の増殖・運動の停止・再開のスイッチ機構、および新たな生存機構:がん細胞の増殖・運動の停止・再開のスイッチ機構を解明するため、乳がん細胞で上記の分子の発現や相互作用、増殖・運動に関わるシグナル伝達分子の活性化を検討した。その結果、ネクチン-4がErbB2のバリアントであるp95-ErbB2と結合した場合にのみ、Hippo経路を介して転写因子SOX2の発現を促進した。また、SOX2はがん細胞の非接着状態の増殖を促進した。これらの結果を論文として発表した。 (2)乳がん細胞の増殖・運動の停止・再開のスイッチ機構、および新たな生存機構:がん細胞の増殖・運動の停止・再開のスイッチ機構を解明するため、がん細胞を観察している際、新たな表現型を発見した。ネクチン-4がErbB2のバリアントであるp95-ErbB2と結合した場合にのみ、がん細胞の多層化が認められた。この多層化は、Hippo経路を介したSOX2の発現が必要であることが明らかとなった。また、アドへレンスジャンクションやタイトジャンクションに局在する細胞接着分子、がん細胞のアピカル側やベーサル側に局在する極性分子などの局在場所も変化していた。これらの結果を論文として発表した。
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