2022 Fiscal Year Research-status Report
EGFR肺癌の髄膜癌腫症におけるEGFR-TKI耐性克服治療の開発
Project/Area Number |
21K07172
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福田 康二 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (10722548)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Osimertinib / EGFR肺がん / 髄膜癌腫症 / ARID1A |
Outline of Annual Research Achievements |
第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるOsimertinibは、EGFR遺伝子変異陽性肺癌(EGFR肺癌)に対して効果的で、中枢神経系(CNS)転移にも高い有効性を示す。しかし、腫瘍が顕著に縮小した場合でも、1~2年程度で耐性を獲得することが重要な課題であり、Osimertinib耐性となった髄膜癌腫症の予後は不良である。申請者らは、ヒトEGFR肺癌細胞株をマウスの髄腔に移植したモデルで、Osimertinib耐性化した腫瘍から細胞株を樹立し、次世代ゲノムシーケンサー(NGS)による解析で、ARID1A遺伝子がオシメルチニブ耐性株で変異し、機能欠損していることを発見した。親株のARID1AノックアウトはOsimertinibへの耐性化を誘導し、耐性株の野生型ARID1A遺伝子導入はOsimertinib感受性回復を誘導したことから、ARID1A変異がOsimertinib耐性を惹起することが示唆された。また、耐性メカニズムを解明するために、親株、耐性株での網羅的な遺伝子発現解析およびパスウェイ解析を行った結果、経路Aの有意な変動が認められた。さらに、耐性克服治療法を確立するため、746個のcrRNAライブラリを用いたCRISPR-Cas9ノックアウトスクリーニングを実施し、耐性株では遺伝子Aのノックアウトが標的として最も有望であることを見出した。その阻害薬は耐性株で高いアポトーシス誘導を認めた。作用機序として、細胞周期のG2/M転換が誘導され、DNA二重鎖切断修復に関連するDNA損傷修復経路との関連が明らかとなった。これらの知見は、Aを標的とすることが、EGFR変異NSCLCにおけるARID1A変異Osimertinib耐性LMC治療に有望な戦略であることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までは、ARID1A変異とOsimertinib耐性との関連性を検証した。本年度は、耐性の克服治療法を確立するため、746個のcrRNAライブラリを用いたCRISPR-Cas9ノックアウトスクリーニングを実施し、ARID1A変異オシメルチニブ耐性株で遺伝子Aのノックアウトが標的として最も有望であることを見出すことができた。その阻害薬は変異株特異的に高いアポトーシス誘導効果を認めた。耐性克服治療の開発に向けて大きく前進したことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、CRISPR-KOスクリーニングにより見出した阻害薬の髄膜癌種症での有効性および移行性についてマウスLMCモデルを使用して検証を行う。また、阻害薬の作用メカニズムについて複数のアッセイを行い明らかにする。これらの内容をまとめ、論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
本年度中にマウスの治療実験が開始することができなかったため、マウスおよび治療薬の購入費用として次年度に使用する。
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