2023 Fiscal Year Research-status Report
銀ナノ錯体バイオチップを活用したヌクレオソーム解析による新規大腸癌診断法の確立
Project/Area Number |
21K07181
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
金城 達也 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50623386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 士郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50314159)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸癌 / ヌクレオソーム / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
銀ナノ錯体バイオチップ捕捉塩基配列解析及び手術患者を対象としたレジストリ作成を実施。新解析機器により測定した35例のうち解析可能な25例(悪性大腸疾患22例、良性大腸疾患3例)で解析をおこなった。銀ナノ錯体バイオチップにより捕捉されたヌクレオソームの自家発光波長による癌診断では陽性18例、陰性7例であり、感度77.3%、特異度66.7%、精度76.0%であった。疑陽性症例はESD後の追加切除症例であり、リンパ節転移を含め原発巣遺残がなかったため、今後も慎重に遠隔転移の検索をおこない、精度の評価をおこなっていく。偽陰性症例3例のうちStage01例および粘液癌2例であり、粘液癌など組織型により検出困難である可能性も示唆された。さらに5例(Stage I 3例、 Stage IV 2例)について本バイオチップに捕捉されたDNAに関して次世代シークエンサーを用いてDNA塩基配列を実施した。長年にわたり本バイオチップから解析可能なDNAを抽出することが困難であったが、今回は物理的破砕によるDNA抽出を行うことで初めて解析可能なdsDNAが抽出できた。シーケンスの結果、ERBB2、SMAD4など癌関連遺伝子が検出された。またStage IV症例ではStage I症例より腫瘍遺伝子変異量が多い傾向がみられ、バリアントにも症例毎に特徴がみられた。本研究により本バイオチップの精度、特徴が明らかになりつつあり、癌診断や個別化診療での有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
銀ナノ錯体バイオチップによる癌診断および捕捉塩基配列解析を実施し、本バイオチップの精度および特徴の一部が明らかになったが、新解析機器による測定症例の集積が遅れやDNA抽出やシーケンス解析に時間を要したため、予定していたがん検診集団における研究が実施できなかった。解析可能なDNAの抽出が可能となり、その成果も得られたため、さらに解析症例を増やし、検討をおこなっている。さらに解析が遅れていたヒストンタンパク解析の情報収集が整い、解析準備をおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究成果により、本バイオチップの精度と特徴の一部が明らかになった。精度については今後、検診対象者についての研究が必要であるが、同時に本バイオチップにより捕捉されたヌクレオソームの解析を行うことで、より精度が高く、個別化した判定が可能となる可能性がある。シーケンス解析対象症例を増やし、エピゲノム解析およびヒストンの解析を詳細に実施することで検出精度の向上が可能か検証を進めていく。 本バイオチップは微量血清から迅速かつ簡便にがん判定が可能であるため、従来の便潜血及び大腸内視鏡検査より簡便かつ低侵襲な癌検出法として、早期癌診断として癌診療への応用を追求していく。
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Causes of Carryover |
バイオチップに付着しているヌクレオソーム解析のため、研究協力施設と検出法の議論を行い、実施の準備にとりかかっている。微量タンパクおよびバイオチップ上でのタンパク検出の準備のための情報収集や試薬発注に時間を要したため、次年度使用額が生じた。次年度はさらに多くの症例でシーケンス解析をおこない臨床病理学的因子との解析をおこなうことで、本バイオチップに補足されたDNAの意義を追求していく。現在検討中のヒストンのカクテル抗体によるバイオチップ補足タンパクの解析にも取り組み、さらに本バイオチップの特性について詳細に検討していく。
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